FRBパウエル議長パウエル議長は来年2月に任期切れを迎えるが、議員からは再任を否定する声も出ており、今後、政治的な軋轢は少なくなさそうだ Photo:Federal Reserve

 コロナ禍から経済活動が順調に回復する米国だが、消費者物価の予想以上の高止まりに、FRB(連邦準備制度理事会)は金融政策の難しいかじ取りに直面している。

 パウエル議長は2021年内のテーパリング(量的緩和の縮小)開始を示唆するなど、市場とのコミュニケーションにも気を配っているが、インフレ予想を押し上げるために「苦肉の策」に進んだFRBにとって、皮肉な展開ながら、高まるインフレリスクに対応が後手に回るのではないか、という懸念が強まりつつある。

8月の消費者物価前年比4.3%
政策意図と違うメカニズムの上昇

 苦肉の策とは、FRBが政策の新たな枠組みとして昨年8月に導入した「平均的インフレ目標」だ。

 新しい枠組みは、インフレ目標は代表的な物価指標の前年比2%増であることには変わりはないのだが、例えば、物価が長く目標を下回る伸び率しか達成していなかったとすると、その下振れを取り戻すに足る物価の上振れを「しばらくの間」は許容し、平均して目標の2%を達成しよう、というものだ。