上の血圧が130を超えると注意! そのエビデンス

 従来は高血圧の基準は「上の血圧が140以上」だったのですが、130以上になりました。

 2015年に米国・プエルトリコの施設の約1万人を対象に行われた「SPRINT試験」では、「上の血圧が120未満だった人のほうが死亡率や心臓病の発生率が低かった」というデータが発表されました(※2)

 そして、2016年に医学誌『Lancet』で発表された、約61万人ものデータを対象に行われた分析では、「上の血圧が130未満だと心不全、腎不全、脳卒中などのリスクが下がる」いう結果が出ました(※3)

 こうしたデータを踏まえて、2017年に高血圧の基準が改定されたのです。

 高血圧を放置すると、その圧力によって血管の壁が傷つき、動脈硬化が進行します。心筋梗塞、脳出血、大動脈解離、大動脈瘤破裂といった命に関わる重大な病気リスクが上がり、腎臓の機能も低下します。高血圧は恐ろしい生活習慣病なのです。

 高血圧に対して「薬を出す出さない」は医者によって異なりますが、薬は飲まないに越したことはありません。生活習慣の改善で下げていきましょう。

 血圧については「上の血圧は130未満にしておきたい。120以下になったら素晴らしい」という考え方を持っておくとよいでしょう。身近な人にぜひ教えてあげてください。

(本原稿は、森勇磨著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を編集・抜粋したものです)

【出典】
※1 Ji Guang Wang,et al. Systolic and diastolic blood pressure lowering as determinants of cardiovascular outcome. Hypertension. 2005 May;45(5):907 13.

※2 SPRINT Research Group A Randomized Trial of Intensive versus Standard Blood Pressure Control. N Engl J Med 2015; 373: 2103 2116.

※3 Ettehad D, et al. Blood pressure lowering for prevention of cardiovascular disease and death: a systematic review and meta analysis. Lancet 2016; 387: 957 967