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セカンドライフ失速で転機を迎える仮想空間ビジネスの「現実」

【第10回】 2008年7月18日
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 「数百万円の投資を行ない、ミュージアムやショールームを作ったが、人が集まらなくて廃墟のようになっている」

 「これまでの収入は初期投資額の10分の1程度。撤退した同業他社もいるが、満を持して参入しただけにどうしたものか……」

 現在、セカンドライフに参入した企業の担当者は、口々にため息をついているという。

 セカンドライフ(Second Life)とは、言わずと知れた「世界で最も有名な3D(立体)仮想空間」である。米国のリンデンラボ社が2003年に開始したこのサービスは、SNSやYouTubeなどの「ウェブ2.0的なツール」の一つとして、06年頃から利用者が急増、昨年7月には日本語版サービスも開始された。今や世界90カ国の人々が参加しており、アカウント登録者数は約1400万人に上る。

 このセカンドライフ(以下SL)、平たく言えば、壮大なオンラインRPG(ロールプレイングゲーム)のようなもの。自分の分身であるアバター(着せ替えなどが自由にできるネット上のキャラクター)を作り、仮想空間内でSIM(「島」と呼ばれる土地)を購入して生活する。空間内にはショッピングモール、遊園地、銀行、個人の住居など、現実世界に存在するありとあらゆる場所があり、アバター同士が交流している。ただし、通常のRPGのように「ゴール」はない。

 これがタダのゲームでない理由は、現実世界とリンクする「リアリティ」である。空間内では、自分で店を作って自由にビジネスができるのだ。「リンデンドル」という仮想通貨が流通しており、これは現実社会の米国ドルと換金も可能。現実さながらの「バーチャル社会」を楽しむことができる。

人が全く集まらない企業も
閑古鳥が鳴くセカンドライフ内の「島」

 その経済効果に目を付け、SLには現実社会の企業や団体が流れ込んだ。仮想空間内で商品やサービスのプロモーション・販売を行ない、現実社会の利益に結びつけようとしたのだ。トヨタ自動車、日産自動車、ベンツなどの自動車メーカーから、富士通、マイクロソフト、ソフトバンクなどのIT企業、三越などの小売企業、果てはハーバード大学などの教育機関まで、国内外を問わず、その数は膨大だ。

 ところが、しのぎを削っていた企業や団体の多くは、冒頭のように肩を落としている。そう、「人が集まらない」のだ。

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