オリジナル作品の変遷から見えるネットフリックスの素顔

『火花』から始まり、『全裸監督』を生み出すまでのジャパンオリジナルの変遷をたどると、動画配信覇者ネットフリックスの素顔が少しずつ見えてくる。個々の作品の背景には、ネットフリックスの基本的な戦略とポリシーが隠されている。

 ネットフリックスの戦略のなかで、ローカルのオリジナルコンテンツ戦略の基本を筆者なりに解釈すると、「ローカルANDグローバル」をモットーとしていることがわかる。「ローカルORグローバル」でもなければ、「ローカルAND THENグローバル」でもない。

「ローカルORグローバル」の考え方は、もともとコンテンツ市場にあったものである。ターゲットをローカル市場に置くか、グローバル市場に置くかによって、企画の趣旨は変わる。ローカル市場のマーケティング情報だけでなく、グローバル市場のマーケティング情報を持っているか否かで、おのずとグローバル市場を狙うことができるかどうか、答えが変わってもくる。これはグローバルにもマーケットを持つアメリカ発のコンテンツが圧倒的に有利に働く。

 アメリカ以外の国では「ローカルAND THEN グローバル」が有効な策である。ネットフリックス台頭以前は、ローカルでヒットさせ、海外への進出の道を探るといった流れが一般的だった。リメイクという手法もあり、展開する国に合わせてローカライズしたものをヒットさせることが英語圏以外の国ではよくみられる。言語や文化、習慣の障壁を取り除くことができる大きなメリットを持ち合わせるが、時間と手間がかかることもあり、成功事例を次から次へと生み出しにくいデメリットもある。