時代に合った
お金の知恵が必要

 40~50代は、子どもの教育費や住宅ローンの返済など、何かと支出に追われるものの、本格的に老後に向けて資産を形成する時期でもある。

「将来設計を考える際、多くの人は、年金額を心配しますが、本当に心配すべきは支給開始年齢。国民年金の支給開始年齢はすでに65歳からですが、来年4月からは厚生年金も段階的に65歳へと引き上げられます。つまり、60歳で退職した場合、5年間の無年金期間ができてしまうのです」

 ちなみに、財政悪化に苦しむ欧州では、多くの国が、20年ころまでに年金の支給開始年齢を67歳に引き上げる予定だ。

「日本が欧州より財政状態が悪いことを考えれば、67~68歳に引き上げられる可能性も十分にあり得ます。しかも、今の現役世代の親の世代は、預金金利が高かったため、預貯金でお金を殖やすことができました。でも、低金利の今は預金だけではお金は殖やせない。今後は、これまでの経験則が通じない時代になるのです。そのため、新たなお金との付き合い方を身に付ける必要があります」

知恵を生かした
資産運用が不可欠

 昨今の経済環境を考えると「世界的な低金利は、少なくともあと1~2年は続く」と深野氏は言う。預金金利がすずめの涙程度である状況は、当面続く可能性が高いのだ。

「絶対的な金利水準は低いものの、金融機関の選び方次第では、預金金利などに大きな差がつきやすくなってます」

 例えば、メガバンクや地銀の1年物定期預金の金利は年0.025%前後だが、ネット銀行には年0.3~0.4%のところもある。100万円を1年間預けた場合、前者の税引き前利息は250円だが、後者は3000~4000円と十数倍もの差がつく。収入も可処分所得も同じでも、金融機関の選び方次第で、将来の資産額に大きな差が出る可能性があるのだ。

「無年金の期間があることを考えれば、自助努力は不可欠。投資でお金を増やすことを考える必要もあるでしょう。幸い1万円から投資信託が買えるなど、誰でも気軽に投資できる環境が整っていますし、投資手法も投資対象も選択肢が増えています。

 半面、誰でも損失を被る恐れもあります。損失を最小限に抑えるためには、金融商品の特徴やリスクを理解した上で使いこなすべき。つまり、それがこれからの時代の行動を伴う“お金の知恵”なのです。ボーナスでまとまったお金が入り、かつ来年の計画を考える年末年始は、お金の知恵を身に付け、投資デビューに向けた第一歩を踏み出すチャンスです」