オフィスではなくカフェなどの場所でWi-Fiやクラウドを駆使しながら働くスタイル「ノマド」が注目を集めている。しかし一方で、ノマド批判が一部でブームとなっているのも事実だ。ネット上では有名無名問わず、多くの人がこの話題を論じ、過激な批判も目立つ。
なぜ、ノマドはこんなにも話題になるのか。それはノマドという言葉が、単なる仕事術やスタイルを越え、なぜ人は働くか、人はどう働くべきなのかといった根源的な問題を突きつけているからなのではないだろうか。
そこで当連載『ノマドってどうよ? ~賛否両論から「働く」を考える~』では、ノマドの話題を軸にしながらも、「理想の働き方は?」と言った根源的な問題を考えていきたい。
今回は、当連載に対してTwitter上でご意見をくださった、シンガポールで法人を立ち上げ、企業向けのコンサルや研究を行う木島洋嗣さんにご登場いただいた。実は木島さんにお会いするために、当コーナー初となる海外渡航を慣行。マリーナベイサンズが見えるビルの共有会議室で話を伺った。(インタビュー日:2012年11月下旬)
■木島洋嗣さん
「統括・ハブ機能研究所」を運営するシンガポール法人Tree Islands Singapore Pte Ltd の代表。1997年上智大学経済学部卒業。アメリカのNPOで政府間交渉支援などに従事し、99年リクルートに入社、地域活性化やキャリア教育に関わる仕事を行う。04年に日本で独立。その後09年のシンガポールを皮切りに拠点を海外に移す。現在はシンガポールと香港で日系企業のアジア進出のコンサルや、ハブ機能に関わる研究活動を行う。
運営サイト:http://www.region-hub.com/
Twitter=@hirokijima0318
Facebook=https://www.facebook.com/hirotsugu.kijima
【ノマドへの見解/筆者の印象】
ノマドというワークスタイルは、日本の東京という地域だけで有効な手段だと話す木島さん。その点は第3回、4回で登場した常見陽平さんと同じ意見だが、木島さんはアジア市場というフィールドを前提にした独自のノマド論をお持ちのようだ。
日本の一部のノマド論議には
“外部要因”という視点がない
――まず、ノマドの話に入る前に、木島さんが何者なのか、読者も気になると思いますので、これまでの経歴などを聞かせていただけますか。
僕は上智大学を卒業して、アメリカでリサーチ系の仕事をしていました。ずっとアメリカにいようと思ったんですけど、家族が病気になって、日本に戻ってきたんです。それで、リクルートに入社しました。その後独立、起業して、そして2009年にシンガポールにオフィスを作り、それからはシンガポールと香港をハブに活動をしています。