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放射能、アスベスト、有害ゴミ……「環境汚染大国ニッポン」

あらかじめ指摘されていた事故原因
石巻市で発生した“典型的”アスベスト飛散事故(5)

井部正之 [ジャーナリスト]
【第13回】 2012年12月17日
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行政や関連事業者が「特殊事例」と強調する宮城県石巻市の商店街で発生したアスベスト飛散事故。だが、関係者の主張に反し、発注段階から工事後の対応、現在進行中の後始末の工事にいたるまで多くの問題が指摘されており、「典型的」としか考えられない実態がある。

当初から問題が指摘

 8月30日に発覚した宮城県石巻市のアスベスト飛散事故とその後始末をめぐる対応がどのように典型的なのか。情報公開請求によって入手した石巻保健所の対応記録や筆者が目にした現場の状況をふまえて、改めて振り返ってみたい。今回は事故の発覚前についてである。

 商店街の一角にある元店舗の解体工事にともなうアスベスト除去工事について、大気汚染防止法に基づく届け出が石巻保健所に提出されたのは2011年12月27日のことだ。届け出たのはこの解体工事を石巻市から「抽選」で請け負った地元の菅野工務店。除去工事は下請けの環匠(埼玉県川越市)が実施するとされた。

 じつはすでに、この時点で事故の兆しがあった。アスベストの調査・分析に詳しい、NPO「東京労働安全衛生センター」の外山尚紀氏がたまたま現場を訪れたのはこのころだ。外山氏は外壁が崩落し、はりや柱に吹き付けたアスベスト、それも発がん性のもっとも高いクロシドライト(青石綿)が露出していることに加え、隣接する土地にこぶし大の青石綿のかたまりがごろごろ落ちている状況を確認している。

 外山氏はこの現場の危険性が高いと判断し、石巻市や石巻労働基準監督署に連絡して青石綿がむき出しになっている状況を伝えた。すると行政からは「承知している」との回答が返ってきた。

 外山氏が現場を再訪したのが1月下旬、このときは筆者も同行していた。壁が落ちて吹き付けアスベストがむき出しだったという外壁部分にはシート養生がされていたが、隣地には多数の吹き付けアスベストが散乱したままだった。

宮城県石巻市の商店街にあるアスベスト飛散事故の現場。1月下旬段階では一応養生がされていた Photo by Ibe Masayuki
すぐとなりの土地にはアスベストのかたまりが散乱したままだった。アスベスト繊維の束がはっきりみえる Photo by Ibe Masayuki

 

隣地に転がるアスベストのかたまり Photo by Ibe Masayuki

 

 

側溝に落ちていた吹き付けアスベストのかたまり Photo by Ibe Masayuki

 

散乱するアスベストのかたまりに印を付けるとこのようになる。大きいものは直径20センチほどにもなった Photo by Ibe Masayuki

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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井部正之 [ジャーナリスト]

地方紙カメラマン、業界誌記者を経て、2002年よりフリー。現在アジアプレス・インターナショナル所属。産業公害や環境汚染、ゴミ問題などを中心に取材している。


放射能、アスベスト、有害ゴミ……「環境汚染大国ニッポン」

2011年3月11日、東日本大震災が発生し、東京電力福島第一原子力発電所の事故による大量の放射能がまき散らされた。それ以来、私たちの生活は大きく変わった。降ってくる雨水、蛇口から出る水、スーパーで売られている食べ物……、ありとあらゆるものが、放射能に汚染されているのではと、汚染を疑わざるを得なくなったのだ。しかし、こうした私たちの生命と健康を脅かす汚染は、なにも3.11で始まったわけではない。アスベスト、他のさまざまな有害ゴミは、もともと私たちの生活のすぐそこに存在した。環境汚染大国ニッポンー◯。その実態をレポートする。

「放射能、アスベスト、有害ゴミ……「環境汚染大国ニッポン」」

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