「急がばまわれ」!?
マルチタスクより作業効率を高める意外な手法

 仕事の手法で「マルチタスクで効率アップ!」なんて言われることもありますが、科学的にはあまりいいとはいえません。

 脳に同時進行で処理をさせるために行われたある実験を紹介します。

 テネシー大学のエディー・クリストファーは、音楽を聴きながら、あるいは無音で、文章を理解してもらう課題と、数学の課題をやらせてみたことがあるのですが、音楽を聴きながらでは、どちらの課題もパフォーマンスは落ちてしまいました。

 課題に集中できる人なら、パフォーマンスは落ちませんでしたが、「課題に集中できる」ということは、つまり「音楽なんて聴いていない」のと同じですから、それなら最初から音楽を聴かなければいいのです。

 つまり、複数の作業を同時にこなせるような人がいないわけではありませんが、基本的には、一度にひとつずつ、仕事をこなしていったほうがよろしいでしょう。そのほうが、結局は時間がかかりません。

 ある作業をしながら、別の作業をするのはとても難しいのです。「あちらもやらないと……」と思うと、集中力や注意力が分散してしまって、だれでもパフォーマンスが落ちてしまうものですからね。

 仕事だって、あれこれと他のことに手を出すより、本業にだけ精を出したほうがうまくいくものですよね。もちろん、世の中には器用な人もいるので、複数の仕事もホイホイとこなせる人がいないわけではありません。そういう人は同時並行で複数の仕事をやってもいいと思いますが、とても普通の人に真似できることではないと思います。ひとつのことに集中したほうが、結局は早く、そしてうまくこなせるのではないでしょうか。