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米国、欧州、中国、日本――主要国の明暗やいかに?
“政治の年”のリスクを解き明かすケーススタディ

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第258回】 2013年1月8日
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2013年の米欧日中はどこへ向かうか?
社会の最上部に位置する政治機能の不安

 米国の“財政の崖”やユーロ圏の信用不安問題、中国共産党内の権力闘争、わが国の経済運営などを見ていると、2013年の世界情勢に最も大きな影響を及ぼすのは政治であることがよくわかる。今年は“政治の年”と言ってもよいだろう。

 世界中が固唾を飲んで注視していた“財政の崖”は、期限切れ寸前になってようやく回避された。最終的にはどこかで妥協案が成立すると見られていたものの、予想通り、民主党と共和党が意地を張り続け、1月に入ってやっと合意案の可決に漕ぎ着けた。

 政治ゲームに一応の決着が付いたことには、米国民だけではなく、世界中の人々がほっと胸をなで下ろしていることだろう。

 ユーロ圏の信用不安問題に関しても、ギリシャやスペインなどの南欧諸国に対する、ドイツやオランダなどの北欧諸国のスタンスはかなり頑強だった。問題発生の当初から、北欧諸国が柔軟な対応姿勢を示すことができれば、おそらく南欧諸国の信用不安に伴う社会の問題はこれほどまで発展することはなかったことだろう。これも、ある意味では政治の責任と言える。

 また昨年、中国共産党内の権力継承に関して、かなり熾烈な政治的抗争があった。今や世界第2位の経済大国である中国で、経済合理性の通用しない権力闘争が発生することは、同国の経済や人々の心理にマイナスの影響を与えることは避けられない。それが中国だけの問題に収まればよいのだが、中国の動向は世界経済に大きなインパクトを及ぼすことになる。

 わが国でも、機能不全に陥っていた旧民主党政権から、“アベノミクス”を標榜する自民党政権に移行した。問題は、自民党政権が、一段の金融緩和策と大規模な公共投資の二本立ての経済政策でわが国経済を立て直すことができるか否かだ。これら主要国のケースを見ても、2013年には政治の機能がとても重要な役割を担うことは間違いない。

 もともと政治は、社会の中で最も上部に位置する機能だ。政治は税制や社会保障などの仕組みを決める権限を持ち、社会全体にとても重要な影響を与える。その意味では、政治は社会にとってなくてはならない機能である。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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