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「サムスン神話」がアップルの夢を打ち砕く?
IT業界の頂上決戦に見る栄枯盛衰劇の舞台裏

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第259回】 2013年1月15日
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サムスンの快進撃が止まらない
押しも押されもせぬ世界の有力企業へ

 サムスンの快進撃が止まらない。2012年のサムスン電子の売上高は、対前年比で約20%増の約200兆ウォン(約16兆円)、営業利益は同約85%増の約29兆ウォン(約2兆円)となった。世界の主要企業と比較しても、売上高ランキングの15位以内に入る。今や、サムスンは、押しも押されもせぬ世界の有力企業にのし上がっている。

 またIT関連企業に限ると、サムスンは営業利益ではアップルに次ぐ世界第2位であるものの、すでに売上高では2010年にアップルを追い越している。さらに同社は、今後も高い成長率を目指しており、2020年には売上高4000億ドル(約35兆円)を達成して、世界のIT業界で圧倒的な地位を築くことを計画している。

 サムスンの好業績の背景には、スマートフォンやタブレットPCなどの販売が好調であることに加えて、テレビや半導体など広範囲の製品で業績が回復したことがある。

 一方、ライバルであるアップルの業績も好調に推移しているものの、投資家が期待したほどの成長率を示すことが難しくなっている。それは、同社の株価が一時700ドル台に上昇した後、現在500ドル台まで落ち込んでいることを見ても明らかだ。

 スティーブ・ジョブズ亡き後、世界のIT需要者を驚かせるような新製品が出ていないことも、株価低迷の1つの要因になっている。

 そうしたアップルの株価を見て、米国のIT専門家は、「株式市場は、すでにアップルからサムスンへのトップ企業の変遷を織り込んでいる」と評していた。確かに、アップルが需要者の欲しがる新製品を生み出すイメージが毀損することは、同社にとって大きな痛手になる。

 ただし、現在絶好調のサムスンにも、今後の成長には不透明要因がある。IT業界の栄枯盛衰は厳しいものだ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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