2000年代以降日本人観光客は減少
中国人観光客は人口の7倍近くまで増加

 だが、2000年代以降、日本人の団体観光旅行は減少していく。日本政府観光局(JNTO)のデータでは、日本人の香港への観光客は90年代には年間100万人を突破していたが、コロナ前の数年(16年から19年)は、80万人台から60万人台の間を推移するなど減少。

 一方、それと反比例するように、2010年頃から中国人の団体観光客が急激に増えていった。中国から香港への観光客はコロナ前の2018年には約5100万人にまで増加。香港の人口(約740万人)の実に7倍という驚異的な数に上った。

 しかし、中国人観光客が増えるのに従って、香港人と中国人との間にはさまざまな面で軋轢(あつれき)が生じた。

 中国政府の香港への圧力も香港市民の反発を招き、2019年には「逃亡犯条例改正案」に反対するデモが発生、一連の民主化デモへと発展した。政治的に不安定となった香港を訪れる観光客はさらに減少した。

 中国人観光客も減少したが、香港の報道によれば、ジャンボの経営に中国人観光客の影響は直接的にはないという。中国人観光客も団体ツアーが多かったが、彼らが食事の評価があまり高くないジャンボを利用する機会はもともとあまり多くなかったからだ。

 これは個人的な見方だが、中国人の目には、ジャンボの“中華風”の派手な外観や内装は、あまり新鮮に映らなかったのではないだろうか。また、ジャンボが栄耀栄華を極めたのは80年代~90年代のことであり、対象はあくまでも“中華風”なものに魅力を感じる、当時の欧米人や日本人だったのだろう。

 中国人の香港旅行の目的は「爆買い」であり、20年以上も前、日本人が行列を作ったペニンシュラホテルのブランドショップに中国人が大挙して押し寄せ、当時の日本人と同じように行列を作った。