自分の幸せと社会的な成功がイコールの思考回路

──違和感を抱いたきっかけは、何かあったんですか。

野沢:「これ」という出来事があったわけではないんですが、基本的にアメリカで過ごし、年に1回日本に帰ってくるというサイクルで働いているので、メディアの流れやブームみたいなものには気がつきやすいのかもしれません。結婚以外にも、収入が多い・少ないで勝ち組、負け組と呼んでいるのも、メディアでよく見るようになって。あまりにも単純過ぎて、その二択しかねえのかよってすごいイライラしちゃう(笑)。

――自分の幸せと社会的な成功をイコールで考えちゃう。

野沢:うん、考え過ぎちゃいますよね。

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――そういう価値観から抜け出したい、自分の固定観念を壊したいと思ったら、具体的には、どうすればいいでしょうか。どんな行動を起こしていくのがいいと思いますか?

野沢:やっぱり、ずっと同じ環境にいると、自分に根付いた価値観をぶち壊すのは難しいんですよね。たとえば私の場合は、国外に出てみて、私が子どもの頃から育ってきた日本の文化や価値観を客観的に見られたのは大きかったと思います。いいところも悪いところも、どちらも冷静に見られるようになったから。といっても、アメリカがめちゃくちゃいい! と言いたいわけじゃないですよ。「アメリカは自由」というイメージがあるかもしれないけど、アメリカ人でもめちゃくちゃ失礼な人、たくさんいますしね。

 ただ、いずれにせよ大事なのは、「一つの価値観の中で人生を終えないこと」かなと思います。日本とアメリカみたいな国の違いだけじゃなくて、たとえばずっと同じ職場、同じ人間関係、同じ環境にい続けるみたいなケースもそう。慣れてしまうと、どんどん窮屈になって、自分が大切にしたいものが見えなくなっちゃうから。

 勝ち組、負け組なんか気にせずに、もっとお気楽に、「今日がよければそれでよし」「食べ物が今日美味しいからそれでよし」みたいな人達も、世界にはいっぱいいるんですよ。でも、いくら知識として「そういう人もいるよ」って言われても、実際に自分の目で確かめないと、「あ、別にそれでいいんだ」って、心の底からは納得できないじゃないですか。

 だからこそ、どんな場所にいても、複数の価値観への「抜け道」をつくっておくことが大事なのかなと思います。