日本のイノベーション欠如は「人災」、誰がリスクテーカーになるべきかPhoto:PIXTA

「なぜ日本でイノベーションが生まれないのか」の連載3回目では、日本における「アーキテクト」の不在やリスクを取れる「エコシステム」が乏しいことがイノベーションを生まない理由になっていると指摘した。第4回では、日本においてリスクを取るべき主体は誰なのかを挙げるとともに、イノベーションが生まれない三つ目の要因を検証する。(日興リサーチセンター研究顧問 東京大学名誉教授 吉川 洋 日興リサーチセンター理事長 山口廣秀 日興リサーチセンター理事長室 前室長 井筒知也)

>>第1回目から読む

リスクに対して臆病なアバターが多い日本
誰がリスクテーカーとなるべきなのか

 ファイナンス面、技術面、そして精神的にもリスクに対して臆病なリスクアバターが多いのが日本の現実だとすると、それを少しでもリスクテーカーに変貌させるにはどうしたらよいか。

 イーロン・マスク氏のような「アーキテクト」が存在し、そうした人々が、目指すイノベーションのグランドデザインを、説得力のある形で提示することがその出発点になることは言うまでもない。

 ただ、日本の現実を踏まえると、民間ベースでは、マスク氏のような「アーキテクト」は出てこないし、リスクを果敢に取っていくような「エコシステム」は動き出さないかもしれない。

 民間からリスクテーカーは出てこないとすれば、誰がリスクテーカーとなるべきなのか。次ページから、その主体を挙げるとともに、日本においてイノベーションが生まれない三つ目の要因を検証する。