ロンドンの「ナショナル・ギャラリー」で、ゴッホの代表作「ひまわり」にトマトスープを投げ付けた環境保護団体の活動家(イギリス・ロンドン)Photo:AFP PHOTO / JUST STOP OIL

10月14日に英ロンドンのナショナルギャラリーで、2人の活動家が、ゴッホの「ひまわり」にトマトスープをひっかけた。続いてドイツのバルベリーニ美術館でも23日、印象派の画家・モネの名作「積みわら」にマッシュポテトが投げ付けられた。最近、世界的な芸術作品が、“ある活動家”によって攻撃される事件が相次いでいる。彼らの正体とは?(著述家 山中俊之)

ゴッホやモネの絵が破壊攻撃された

「ゴッホの絵にトマトスープがぶちまけられたって!?」「モネの絵にはポテトが投げつけられた!?」――最近、世界的な芸術作品が、“ある活動家”によって攻撃される事件が相次いでいる。ニュースで見聞きして驚いた人も多いだろう。

 筆者が教鞭(きょうべん)を執っている芸術文化観光専門職大学における授業、「世界を知る」では毎週、重要なニュースや関心のあることについて共有している。

 先日の授業では何人もの学生が、こうした「芸術作品の破壊事件」を取り上げていた。破壊行為は決して許されないことである一方、環境問題への対応の必要性を訴える意見もあった。芸術を学ぶ学生にとって、あの事件は大きな衝撃だったのだ。

 この事件は、単に「不届き者による破壊活動。実にけしからん!」という意見が多いだろう。もっとも、それ以上に、人間社会に対する深い論点があると思う。

 世界のメディアの取り上げ方や、私自身が世界各地の有識者や実務家と議論してきた経験を踏まえた上で、「不届き者」の行為について考えていきたい。