池上彰氏に聞く就活「今の人気業界に入るのが必ずしもいいとは言えない理由」Photo by Masato Kato

*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2023」の「識者に聞く!『不確実性』時代を生き抜く知恵」を転載したものです。

日本社会を取り巻く状況は「不確実性」を増している。就活を始めるに当たって、不安を抱く学生や親は多いだろう。しかし歴史を振り返れば、いつの時代も不確実性に満ちており、環境がどれだけ変わっても真にやりがいのある会社を選ぶための指針は、変わらずに存在してきた。ジャーナリストの池上彰氏が、これから社会に出る若者たちに会社選びの要諦を上・下の2回に分けて教える。今の時代に、発展性や将来性が見込める企業の条件とは何だろうか。(取材・文/柳沢敬法 撮影/加藤昌人 ヘアメイク/市嶋あかね)

いつの時代も
「不確実性」に満ちている

――コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻などをはじめ、変化の激しい現代は「不確実性の時代」ともいわれています。就活生にとっては不安な環境かもしれません。こうした世相をどう見ていますか。

 まず言えるのは、今が特別ではないということです。1970年代、経済学者ジョン・ケネス・ガルブレイスの『不確実性の時代』という本が世界的なベストセラーになりました。

 その当時の人々だって先の見通せない社会に大きな不安を抱えていたわけです。昔も今も、未来とは常に不確実なものなんですね。

 よって私たちは、常に「いつだって不確実性の時代だ」「確実な時代などあり得ない」という認識を持つことが大事だと思います。