消費の回復は本当か、「複眼思考」で実相に迫る消費統計の読み解き方Photo:PIXTA

難しいことを探る3つの手法
「分ける」「統合する」「裏を見る」

 消費を理解することは難しい。30年近く経済分析の仕事に携わっていて、そうした印象を強く抱いている。

 そこで、難しいことを割と簡単に行うための手法として、1つの見方ではなく、複数の切り口を用いて複眼思考で把握するということが重要だ。

 具体的には、(1)分けてみること、(2)統合してみること、(3)裏側を見ることの3つのアプローチを行って、全体像がどう成り立っているかを知るのだ。

 コロナ禍からの経済回復のカギを握るのが、消費が停滞から脱するのかどうかだ。またそのために来年春闘での賃上げ実現が注目されている。

 果たしてそれは正しいのか。多面性を持っている消費は、いくつかの角度で観察しなくては、よくわからない。3つの手法を用いずにたった1つの見方だけで「消費はどうなっているのか?」を考えると、極めて一面的な捉え方になってしまうことに注意が必要だ。