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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

地方がはまった“有利な起債”の落とし穴
ハコモノ維持管理費が自治体財政を直撃

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第62回】 2013年2月5日
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自治体の個性が薄れて画一化・均質化
20年に渡る地方取材で実感すること

 自治の現場を取材して回る生活を20年以上、続けている。1人で全国津々浦々を訪ね歩き、これまで様々なものを見聞きしてきた。狭い日本ではあるが、地域によって暮らしぶりや文化、産業、風土、自然などに違いが見られ、つくづく日本は多様な社会だと実感している。

 しかし、その一方で、それぞれの地域の特色や個性が薄れ、画一化・均質化しつつあることも肌で感じる。日本全体の「金太郎飴化」が確実に進んでいるように思うのである。

 地域の没個性化は様々な面で進行しており、自治体が抱える課題も全国的に似通ったものとなっている。それは、少子高齢化や人口減少、地域活力の低迷といった日本社会全体が背負い込んでいるマクロの課題だけではない。地域内の揉め事といったごくごくローカルな問題においても、画一化・均質化が強まっている。地域課題が全国一律化しているのである。

 地方取材行脚を始めた頃、各自治体が抱える揉め事といえば、だいだい相場が決まっていた。公共施設(ハコモノ)建設をめぐる住民同士の争いだ。

 地域のどこにハコモノを造るかで、壮絶な綱引きとなるのが一般的だった。「どんなハコモノを造るべきか」といった議論は脇に置かれ、いきなりハコモノの取り合いとなっていたのである。

 だが、ハコモノ争奪戦もそう長くは続かなかった。もちろん、それは互譲の精神が発揮されるようになったからではない。行政側がそうしたハコモノ建設の総量を増やし、地域間のバランスに配慮するようになったからだ。

 こうして日本の各地域のそこかしこに様々な公共施設が整備されるようになった。ハコモノ建設の原資となったのは、もちろん税金だ。それも現ナマではなく、ほとんどが地方債(借金)だった。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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