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三輪泰史の日本農業「ハイテク再生」

処方箋(4)高度な農業技術が集積・植物工場
中国、中東、シンガポールなどが熱い視線を注ぐ

三輪泰史 [日本総合研究所創発戦略センター主任研究員]
【第5回】 2013年2月6日
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狭い土地で効率的に農業生産できる植物工場が世界で注目されている。外部環境を農産物の生育に最適な条件に整えることで、短期間栽培、年中栽培、無農薬栽培、気象リスク回避などができるのが大きなメリットだ。高度な農業技術が結集する日本の植物工場は、食の安全性を求める中国、水が不足する中東、耕地面積が狭いシンガポールなどから熱い視線を注がれている。

植物工場は
次世代の農業技術

 狭い土地で効率的に農業生産できる植物工場が世界で注目されている。植物工場とは、光、温度、二酸化炭素濃度、風速、肥料濃度等の栽培環境を、人為的に最適コントロールする栽培施設である。大半の植物工場は水耕栽培方式だが、一部には人工土壌を用いたものも存在する。露地栽培では自然任せだったものを、植物工場では栽培環境を積極的にコントロールし、生産量向上とリスク低減を図っている。

 植物工場は光源によって分類され、人工照明のみで栽培する人工光型と自然光メインで一部を人工照明で補う太陽光併用型の2種類が存在する。前者は閉鎖された建物内での栽培であり、蛍光灯やLEDが用いられる。後者は大きな温室内での栽培で、自然光を補う形でナトリウムランプ等が用いられる。

 時に誤解されているが、太陽光併用型は太陽光発電を使っているのではない。温室栽培と同じく差し込んだ自然光で植物が光合成するもので、「工場」というよりも、高度に管理された温室と言ったほうがわかりやすいかもしれない。

植物工場の
どこがすごいのか?

 外部環境を農産物の生育に最適な条件に整えることで、短期間栽培(回転率の高さ)、年中栽培、無農薬栽培、気象リスク回避といったメリットが生まれる。露地栽培や一般的な温室栽培の場合、気温や降水量の面で栽培のタイミングは自ずと決まっている。

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三輪泰史 [日本総合研究所創発戦略センター主任研究員]

(みわ・やすふみ)東京大学農学部国際開発農学専修卒業、東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻修了。現在、株式会社日本総合研究所創発戦略センター主任研究員、グローバル農業チームリーダー。農産物のブランド化に関するベンチャー企業の立上げに参画。主な著書に『グローバル農業ビジネス』、『次世代農業ビジネス』(以上、日刊工業新聞社)、『甦る農業―セミプレミアム農産物と流通改革が農業を救う』(学陽書房)ほか。


三輪泰史の日本農業「ハイテク再生」

日本の農産物は、世界最高水準の美味しさ・安全性を誇る。一方で、日本農業は低迷が続く斜陽産業とも言われる。つまり、日本農業は大きなポテンシャルがありながらも、それを十分に活かせていない状況に置かれていると言えよう。日本農業の復活のためには、自立した「儲かる農業モデル」の構築が求められる。成功のポイントは、アジア等の成長マーケットを視野に入れたグローバルなビジネスモデルと、それを実現するための先進的な農業技術・ノウハウの2つだ。本連載では、農業ビジネスに携わるシンクタンク研究員である筆者が、世界で経験した具体例を交え、いかにして「儲かる農業モデル」を作り上げていくかを解説する。

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