昨年12月20日の金融政策決定会合後に会見臨む黒田東彦日銀総裁昨年12月20日の金融政策決定会合後に会見臨む黒田東彦日銀総裁 Photo:Bloomberg/gettyimages

10年金利の変動幅拡大
転換点ではなく「通過点」

 日本銀行は、昨年12月20日の金融政策決定会合において、誘導目標である10年国債金利の変動幅を0.5%に拡大した。この決定は、市場では驚きをもって受け止められ、日銀の金融政策の転換点になるとの評価も出ている。しかし、これは転換点というより通過点と考えた方がよさそうだ。

 2013年4月に黒田総裁の登場とともに始まった異次元金融緩和の転換点は、イールドカーブ・コントロールと、オーバーシュート型コミットメントからなる16年9月の新しい枠組みの導入だ。

 イールドカーブ・コントロールは、今でこそデフレ脱却のための異次元金融緩和の象徴のように見なされている。しかし、もともとは、10年国債金利の誘導目標をゼロ%程度と設定することによって、同年1月に始まったマイナス金利政策による金利の急低下を止めることを目的としていたと考えられる。

 実際、-0.3%程度に低下していた10年金利は、新しい枠組みの導入を境にゼロ%程度のプラス領域で推移するようになった。その後は、変動幅がプラスマイナス0.1%→0.2%→0.25%と広げられる中で、上下に変動しながらも金利水準が上がってきた。

 変動幅をプラスマイナス0.5%に広げるという昨年12月の決定は、これまでのプロセスの延長上にある。誘導目標をゼロ%程度に据え置いたまま、変動幅を拡大させるという手法を続けたという意味でも、これは金融政策の転換点ではなく通過点と位置付けられよう。