米で少年の銃犯罪が激増、長年の減少傾向が逆転事件現場となったブロンクスの通りの角には、亡くなったキアラ・テイさんのために花などが捧げられている
PHOTO: JOSE A. ALVARADO JR. FOR THE WALL STREET JOURNAL

 昨年5月のある午後、13歳の少年がスクーターに乗った10代の若者2人に追い掛けられ、ニューヨーク市ブロンクスの通りを走っていった。監視カメラの映像には、少年が介護施設のドアを開けようと必死になっている様子が映っていた。スクーターは歩道に乗り上げ、少年に向かって速度を上げた。警察によると、後部に乗っていた15歳の少年が拳銃を取り出し、複数回発砲した。

 近くでは、キアラ・テイさん(11)が放課後に美容室の外の通りでチキンウイングを食べながら、友人たちがネイルを仕上げてもらうのを待っていた。当局によると、一発の流れ弾が彼女の前の舗道に当たり、もう一発が彼女の腹部に命中した。彼女は2マイル(約3.2キロメートル)離れたリンカーン病院に危篤状態で搬送され、その夜に死亡した。

 2020年以降、子ども同士の暴力は全米で急増しており、何十年にもわたり減少を続けていた少年犯罪の傾向が明確に逆転した。