虫歯、歯周病、口臭、歯ぎしり、顎関節症…
親知らずは口内トラブルの原因に

 歯ブラシやフロスが届きにくい位置に生えている親知らずは、虫歯や歯周病にもなりやすい。そして、隣の健康な歯にまで影響を及ぼすのだ。

「親知らずが磨けていないことが原因で、口臭を引き起こすことがあります。親知らずが伸びてきたことによってかみ合わせが悪くなり、結果的に歯ぎしりを引き起こしてしまい、それが頭痛、肩こり、腰痛に繋がる恐れも。また、歯茎の中に潜っている親知らずも、隣の歯を押して全体の歯並びを悪くさせることもあります」

 歯茎の中に潜っている親知らずがある人は、それが原因で嚢胞(のうほう)や腫瘍ができることがまれにあるという。腫瘍とは、すなわち「口腔がん」だ。

「口腔がんは、粘膜の表面、粘膜の中、そして骨の中にできますが、潜っている親知らずを放置すると、骨の中にできる口腔がんの原因になりかねません」

 腫瘍が見つかると、往々にして顎を半分切除するなど、大掛かりな手術に発展する可能性も。そうなってしまう前に、親知らずは早い段階で抜くのが得策なのだ。

「理想は、まだ歯と骨ががっちりかみ合っていなくて、しなやかな状態の20代のうちに抜歯をすることです。若いうちは、すんなり抜けますよ」

 親知らずの抜歯は、早ければ早いほどいい。すでに自身の口腔内に親知らずがあると自覚している人は、早めに歯科医と抜歯の相談をしよう。

「歯茎の中に潜っている親知らずを見つけるには、定期検診のときなどに、レントゲンを撮ってもらいましょう。もし、抜くほどの大きさではない親知らずの“種”のようなものが見つかったら、定期的なチェックを欠かさずに。少なくとも2年に1回はレントゲン撮影をして、経過を見ましょう」