女性アナウンサー写真はイメージです Photo:PIXTA

ビジネスにおいて感情を豊かに表現できることは、人間関係を円滑にする対人スキルと言える。印象良く会話を弾ませるために欠かせない「うなずき」「相づち」「リアクション」の重要性を、フリーアナウンサーが伝授する。本稿は、庄司麻由里『顔で話せ!相づちで話せ!質問で話せ!―こじらせない対人関係術』(時事通信社)の一部を抜粋・編集したものです。

うなずくと
相手は安心して最後まで話す

「聞き上手」になるために、一番大切なのは、

・うなずき
・相づち
・ リアクション

 です。

 人は誰でも話をしているときに、「あれ?私の話、聞いてくれているかしら?」「自分の言ってること、通じているのかな?」と不安になったり、「自分の話に相手は興味を持ってくれているのかな?」と気にしたりします。

 そんなときに相手がノーリアクションだと、どうでしょう……。

 人間は無反応な人には話を続けられません。実際には、まったく無反応で人の話を聞く、というようなことはないでしょう。ですが、日本人は全体的に控えめな“はにかみ文化”なので、人の話を聞いているとき、反応が乏しく、大きくうなずく人が少ないのです。

 例えば、欧米人などは「オーマイゴッド!」と天を見上げてみたり、両手を出して肩をすくめ、横目になり舌を出してみたり、身振り手振りも大きくオーバーリアクションの人が多いですよね。

「相手と会話を弾ませたいな」と思うなら、このうなずき、相づち、リアクションを、いつもより3~4割増しぐらい大きめに取ってください。

 実はこれは、アナウンサーがインタビューをするときの“基本の基”なんです。

 私たちアナウンサーは、さまざまな職業の人にインタビューします。相手が、例えば大学の先生や医者、弁護士など、普段仕事で話すことに慣れているはずの人であっても、大きなテレビカメラが目の前にあり、ライトがこうこうとたかれると、10人中9人が、カーッとあがってしまい、しどろもどろになります。

 そんなとき、私たちインタビュアーはすかさずカメラの横に立ち、大きく深くうなずいたり、相づちをうったり、全身を使ってリアクションを取ります。すると皆さんだんだん乗ってきて、冗舌にお話ししてくれます。

 まず、うなずき。

「人の話を聞くときには、うなずきながら聞きましょう」と申し上げると、「うなずくと、その人の話に同意していることになってしまう。同意できない話だった場合に困る」ということをおっしゃる人がいます。

 特に男性に多いです。

 ですが、うなずく行為は、「あなたの話に同意します」という意味以前に、

「あなたの話を聞いていますよ」

「あなたの話を理解していますよ」

 というメッセージを相手に伝える効果があるのです。

 その話に同意できるかどうかは、最後まで聞いてからでないと判断できませんよね。

 まずは、相手に最後まで話してもらうためにも“うなずき”は必要です。