古橋亨梧の代表落選で森保監督をたたく人の盲点、「リーグのレベル」発言を徹底検証Photo:JIJI

サッカー・スコットランドリーグの名門セルティックが独走での連覇を目前にしている。チームをけん引するFW古橋亨梧は得点王獲得へばく進し、MF旗手怜央とともに年間最優秀選手候補に挙げられている。しかし、先の3月シリーズを戦った日本代表に2人は招集されていない。理由を問われた森保一監督は「リーグのレベル」と言及し、国内外に大きな波紋を広げた。では、スコットランドは本当に低レベルなのか。同リーグのトップ選手が「国際舞台でどれほど活躍したか」を振り返りつつ、発言の妥当性を徹底検証する。(ノンフィクションライター 藤江直人)

スコットランドのファンを魅了する
「キョウゴとレオ」の大活躍

 シーズンの真っただ中に中東カタールでワールドカップが開催された関係で、異例とも言える中断期間が設けられたヨーロッパ各国のシーズンが、いよいよクライマックスを迎えようとしている。

 各国リーグ戦の優勝争いも大詰めを迎えつつあるなかで、タイトル獲得をほぼ手中に収めているチームもある。日本人選手が5人も所属しているスコットランドのセルティックだ。

 本拠地セルティック・パークに宿敵レンジャーズを迎えた8日のオールドファームダービー。セルティックは3-2で打ち合いを制し、2位・レンジャーズとの勝ち点差を「12」に広げた。

 7試合を残したリーグ戦で、連覇を大きく手繰り寄せたヒーローはFW古橋亨梧。26分に先制、62分には勝ち越しゴールを奪い、通算22ゴールで得点王争いでもトップを快走している。

 レンジャーズ戦を前にして、地元メディアの「THE CELTIC STAR」は早くも年間最優秀選手をテーマにした記事を掲載している。攻撃陣で「勝者は一人しかいない」と群を抜く高評価を得たのが、ヴィッセル神戸から加入して2シーズン目の古橋だった。記事は次のように称賛している。

「キョウゴがプレーすれば、ゴールはほぼ保証されていると言っていい。彼はトップクラスのストライカーであると同時に、謙虚さと無私無欲の精神とを同居させた最高のチームメートでもある」

 同メディアはもう一人の年間最優秀選手候補として、川崎フロンターレから2021年の年末に加入したMF旗手怜央も挙げている。主戦場の中盤だけでなくサイドバック、ウイングとマルチにプレーできる旗手を、記事は「対峙(たいじ)する相手選手に悪夢を見させる」と高く評価している。

「中盤の選手から誰か一人を選ばなければいけないとなれば、レオを見過ごすのは難しい」

 ヨーロッパ各国のリーグ戦で、日本人選手が得点王を獲得した前例はない。年間最優秀選手では2007年に受賞したセルティックのレジェンド、中村俊輔(現横浜FCコーチ)に続く2人目となる。

 日本サッカー界の歴史に快挙が刻まれようとしている一方で、3月下旬にウルグアイ、コロンビア両代表との国際親善試合に臨んだ日本代表のメンバーを見渡せば、古橋も旗手も招集されていない。