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三輪泰史の日本農業「ハイテク再生」

処方箋(5):
農業ITが匠の技を世界に広げる

三輪泰史 [日本総合研究所創発戦略センター主任研究員]
【第6回】 2013年2月20日
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農業のビジネス化の起爆剤として農業ITが注目されている。NECや富士通などといった大手システム会社も参入し始めており、「出たとこ勝負」であった今までの農業のあり方を変えようとしている。農業ITは国内の新規就農者の拡大や、海外における農業ビジネス展開に大きく貢献していくだろう。

遠隔モニタリングが
農家から高い評価

 農業のビジネス化の起爆剤として、農業ITがにわかに注目されている。従来より農業生産においてIT技術が活用されてきたが、最近の「農業IT」は栽培支援システムを指すことが多い。

 栽培支援システムの主な機能は、①センサー・カメラによる環境データ・画像の収集、②作業員の入力による作業履歴の管理、③収集データ・履歴情報の見える化(遠隔モニタリング)、④データ分析による最適な栽培方法のマニュアル化、⑤設備の自動制御(ハウス栽培の場合)、⑥現場作業員への作業指示、等が挙げられる。最近は、急速に普及するスマートフォンやタブレット端末に対応したものがでており、農家にとって気軽に使えるようになっている。

 農業ITというと、上記で上げた⑤の「設備の自動制御」⑥の「現場作業員への作業指示」といったイメージが強いが、意外なことに、③の「収集データ・履歴情報の見える化(遠隔モニタリング)」が農家から高い評価を得ている。もちろん「農家の眼」と「センサーの眼」にはレベルの違いがあり、完全に代替できるものではないが、自然相手で一時もハウスから離れられないこともある農家の作業負担を減らしていることは間違いない。農地が分散しがちな日本では、離れた場所のハウスの様子を遠隔でデータと画像から確認できる点が、農家の安心感につながっているのだろう。

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三輪泰史 [日本総合研究所創発戦略センター主任研究員]

(みわ・やすふみ)東京大学農学部国際開発農学専修卒業、東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻修了。現在、株式会社日本総合研究所創発戦略センター主任研究員、グローバル農業チームリーダー。農産物のブランド化に関するベンチャー企業の立上げに参画。主な著書に『グローバル農業ビジネス』、『次世代農業ビジネス』(以上、日刊工業新聞社)、『甦る農業―セミプレミアム農産物と流通改革が農業を救う』(学陽書房)ほか。


三輪泰史の日本農業「ハイテク再生」

日本の農産物は、世界最高水準の美味しさ・安全性を誇る。一方で、日本農業は低迷が続く斜陽産業とも言われる。つまり、日本農業は大きなポテンシャルがありながらも、それを十分に活かせていない状況に置かれていると言えよう。日本農業の復活のためには、自立した「儲かる農業モデル」の構築が求められる。成功のポイントは、アジア等の成長マーケットを視野に入れたグローバルなビジネスモデルと、それを実現するための先進的な農業技術・ノウハウの2つだ。本連載では、農業ビジネスに携わるシンクタンク研究員である筆者が、世界で経験した具体例を交え、いかにして「儲かる農業モデル」を作り上げていくかを解説する。

「三輪泰史の日本農業「ハイテク再生」」

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