金融政策決定会合を終え、記者会見する日銀の植田和男総裁金融政策決定会合を終え、記者会見する日銀の植田和男総裁 Photo:JIJI

日銀、過去25年間の緩和策
効果と副作用の点検実施

 日本銀行は植田和男新総裁のもとでの最初の4月金融政策決定会合で、「緩和維持」を決めるとともに、過去25年間の金融緩和策の「レビュー」を今後1年~1年半をかけて実施することを打ち出した。

 会合後の記者会見で植田総裁は、金利がゼロになって以降の非伝統的金融政策の効果と副作用を点検すると述べ、経済や物価情勢にあわせた政策変更は、「毎回の決定会合で行う。(レビューは)目先の政策変更に結び付けるわけではない」と、中長期的な観点からの政策評価を強調している。

 一方でこの日、同時に公表した展望レポート(経済物価見通し)では、2023年度、24年度の物価見通しを上方修正し、24年度は「2.0%」(除く生鮮食品)と、日銀の掲げる物価目標を数字の上では実現することになる。

 これまで、「総括的検証」などが行われたのを機に緩和策の政策修正が行われてきたことから、市場では、国債市場の流動性低下などの副作用是正や金利引き上げなどの「出口」に向けた地ならしの役割を担うとの受け止めもある。

 金融政策の正常化が任期を通じた最大の課題である植田日銀の「初手」を額面通りに受け止めていいのかどうか、注視が必要だ。