岸田文雄首相岸田文雄首相にとっては、金融所得課税強化による「1億円の壁」打破が頓挫した後、それに代わる格差是正のための税制改正の第1弾ともいえるものだ Photo:YOSHIKAZU TSUNO/gettyimages

30億円超の所得層対象に新制度
最低22.5%の税負担

 所得が30億円を超える高額所得者に最低22.5%の税負担を求める制度が2023年度税制改正に盛り込まれ、25年度から実施の予定だ。

 岸田文雄首相にとっては、金融所得課税強化による「1億円の壁」打破が頓挫した後、それに代わる格差是正のための税制改正の第1弾ともいえるものだ。

 金融所得課税強化では、見直し表明後、株式市場が下落を続ける状況に撤回を余儀なくされたが、今回は、NISA(少額投資非課税制度)大幅拡充などの投資促進策と組み合わせて、市場関係者からの声高な批判は封じた形だ。

 折しも米バイデン政権も24年度予算案で、所得上位0.01%の億万長者の保有株式の含み益に対する25%ミニマム税を提案している。

 だが日本版“超富裕層ミニマム税”の課税の対象は300人程度で、約1.6万人をターゲットにする米国版より格段に少なく、ほかにもいくつかの食い足りない点がある。