書影『部下全員が活躍する上司力5つのステップ』(株式会社FeelWorks)『部下全員が活躍する上司力5つのステップ』(株式会社FeelWorks)
前川孝雄 著

■ステップ4 「確認」する(繰り返し、言い換え)
 次に、相手の話の内容や、気持ち・感情を確認します。その方法として、相手の話のポイントを復唱する「繰り返し」と、相手の言葉を別の表現で確認する「言い換え」が有効です。
「今回の新しい仕事には、やりがいを感じます」との言葉に、「やりがいを感じているんだね」と復唱したり、「ただ、いくつかの仕事が重なってくると、どれから手をつけたらいいか悩んでしまうんです」との相談に、「複数の仕事の優先順位づけがうまくいかないんだね」などと言い換える方法です。
 話し相手には、あなたに自分の話や気持ちが伝わったことが分かり、安心と納得が得られます。

■ステップ5 「理解」を示す(要約)
 さらに、相手が伝えたい内容を正しく理解していることを示すために、話の要点を短く伝え返す「要約」を行います。「要点を整理すると、○○と○○が課題で、改善のためには○○が必要と考えているんだね」といった具合です。
 要約にあたっては、自分の思い込みの押し付けにならないように気をつけましょう。相手の反応をよく見聴きして、捉え方にズレがあるようなら、どこにズレがあるのかをきちんと聴き直し、再確認していくことが大切です。

■ステップ6 「内省」に導く(質問)
 傾聴の真価は、最後に部下に「質問」を投げかけ、本人の内省を促し、深く考えさせることにある、と言っても過言ではありません。

 上記までのステップで部下の問題意識や悩みを把握したら、それについて「では、なぜそう思う?」「あなたには何ができる?」「どうすればいい?」と問いかけ、本人に考えさせるのです。

「仕事が進まないのは人のせい」「自分はやらされているだけ」といった他責(他人の責任)で捉えている限り、部下は「仕事の主人公」にはなれません。「自分ならこうする」「このやり方で任せてほしい」と自責(自分の責任・役割)で捉えられた時に、自ら主体性と働きがいを持って仕事ができます。常に、部下の内発的動機づけと自律性を高める支援が大切なのです。