傾聴の6つのステップ

 それでは、部下の考えをしっかり引き出すための「傾聴の6つのステップ」を順に解説していきます。最近では、在宅勤務などリモートワークが進む中でのオンライン面談の場面も考えられます。その点も含んで見ていきましょう。

■ステップ1 「姿勢」を整える(座り方、視線、動き)
 まず、話を聴く準備と心構えができていることを、相手に示します。リアルでの対話では、椅子に姿勢を正しく保ちリラックスして座ります。椅子に浅めに腰かけた、やや前傾姿勢がよいでしょう。視線は相手の目のあたりを中心に向けますが、凝視しないように気をつけます。身振り手振りなど上半身の動きは自然に行います。自分と相手の座る位置は、正面から対峙せず、90度の角度か隣に座るのがよいでしょう。
 リモートワークでの、オンライン・ミーティングの場合には、リラックスした表情や笑顔を心がけ、身振り、手振りはやや大きく、また、はっきりとした聴き取りやすい声で、ゆっくりと話すように、態勢を整えましょう。

■ステップ2 「受容」する(頷き、相槌)
 共感的な印象を与えるには、相手の話に合わせた適度な頷きや相槌が効果的です。首を縦に振り、話の要所要所で「うん、うん」「そうか」などと声を発すると、相手の「受け入れてもらっている感」が増します。相手の話のリズムや内容に応じて、頷き方や相槌の速度や深さにも、変化をつけるとよいでしょう。
 リアルの対話では、頷きや相槌が大げさすぎたり、頻度が多すぎると、わざとらしく見えて逆効果です。ただし、リモートの場合には、ややオーバーアクション気味にして、相手にしっかりと伝わることが大事です。

■ステップ3 「共感」する(気持ち、感情の汲み取り)
「そんなふうに思ったんだね」「それはとても嬉しかったね(辛かったね)」など、相手の気持ち・感情を汲み取るのが共感です。相手に「気持ちを分かってもらえている感」を与えるのです。
 なお、共感は同調とは異なります。共感が「~と感じたんだね」と相手の気持ちや考えを理解し受け止めるのに対し、同調は「そうだね、それが一番いい選択だね」などと相手に同意することです。上司は、部下に共感はしても必ずしも同意はせず、異なる意見を持っていても構わないのです。この二つを、はっきりと区別して理解しておくことが大切です。