■Case4「今度、食事に行かない?」

 無事に連絡先を交換できて、いよいよ2人きりのデートに誘いたい…となったとします。ここでも慌てず、伝え方の技術を使って効果的な伝え方を練り上げれば、イエスをもらえる確率を高めることができます。

 しかし、昂る気持ちを抑えきれず、「食事に行かない?!」と直球で勝負してしまう人が少なくありません。もちろん、ある程度関係性を構築できていれば、ストレートな誘い方でもOKをもらえるとは思いますが、そうでもない場合は「いきなり2人きりで食事なんて、気が進まないなあ…」と断られてしまう可能性が高そうです。

 お勧めしたいのは、このような誘い方です。

「インスタ映えするモンブランの店と、背徳の夜パフェを出す店があるんだけど、今度どっちか行ってみない?」

 これは、伝え方の技術「選択の技術」を使った伝え方です。人は、AかBと選択肢を与えられると、ついどちらかを選びたくなります。こちらとしては、一緒にスイーツを食べに行くのが目的なので、どちらを選んでもらっても目的を達成することができます。実際、この技術を使って気になる相手と初デートにこぎつけた…という人を、僕は何人も知っています。

 そして、選択肢のAとBをどちらも相手の好物にすれば、さらにイエスをもらえる確率を上げることができます。「どちらか迷うけれど…モンブラン!」「背徳の夜パフェが気になります!」などとワクワクしながらどちらかを選んでくれるでしょう。

 新型コロナウイルスが5類感染症に移行となり、今後ますます飲食の機会が増えると思われます。人となりを詳しく知っておきたい部下や、好感を持っている同僚など、「距離を縮めたい人」を食事に誘いやすくもなります。

 そんなとき、相手が気持ちよく誘いに乗ってくれるような伝え方を知っておけば、より早く打ち解けることができるでしょう。

 特に効果を発揮しやすいのが、「相手の好きなこと」と「選択の自由」。誘いたい相手が好きなものを事前リサーチしたうえで、選択肢を提示しながら誘ってみてください。たとえ難しめな相手であっても、イエスをもらえる可能性をぐんと高められるでしょう。

「パワハラ上司」に共通する残念な「飲みの誘い方」【ワースト1】佐々木圭一(ささき・けいいち)
コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師
新入社員時代、もともと伝えることが得意でなかったにもかかわらず、コピーライターとして配属され苦しむ。連日、書いても書いても全てボツ。当時つけられたあだ名は「最もエコでないコピーライター」。ストレスにより1日3個プリンを食べる日々をすごし、激太りする。それでもプリンをやめられなかったのは、世の中で唯一、じぶんに甘かったのはプリンだったから。あるとき、伝え方には技術があることを発見。そこから伝え方だけでなく、人生ががらりと変わる。本書はその体験と、発見した技術を赤裸裸に綴ったもの。本業の広告制作では、カンヌ国際広告祭でゴールド賞を含む3年連続受賞、など国内外55のアワードに入選入賞。企業講演、学校のボランティア講演、あわせて年間70回以上。郷ひろみ・Chemistryなどの作詞家として、アルバム・オリコン1位を2度獲得。「世界一受けたい授業」「助けて!きわめびと」などテレビ出演多数。株式会社ウゴカス代表取締役。伝えベタだった自分を変えた「伝え方の技術」をシェアすることで、「日本人のコミュニケーション能力のベースアップ」を志す。
佐々木圭一公式サイト:www.ugokasu.co.jp
Twitter:@keiichisasaki