無料通話/メッセンジャー・アプリ「LINE」の登録ユーザーが今年1月に全世界で1億人を突破した。日本発のサービスだからとは言え、国内ユーザーだけで4150万人というのは、首都圏の総人口がすっぽり埋まってしまうほどのとてつもない規模だ。

 その「LINE」ほどではないにせよ、「カカオトーク」も全世界で7000万人、日本国内で370万人と多くのユーザーを集めている。また、「comm」もサービス開始から3か月で500万ダウンロード突破と、好調な伸びをみせている。さらには、日本語への対応が遅れたため国内での知名度はいまひとつだが、「Viber」も全世界ユーザー数が1億4000万人と、海外では標準的な地位を確立している。いずれも、3GやWi-Fi経由でネットワークに接続していれば、無料で通話やメッセージの交換が行えるため、仕事を離れたプライベートなやり取りは、もっぱらこれらのサービスですませているというビジネスパーソンも多いことだろう。

 それらが無料であることと比較すると、気になるのは携帯電話の通話料の高さだ。国内各キャリアとも、標準的な料金プランでは21円/30秒と、12分間話しただけで500円玉ひとつが飛んでいく。ヘビーユーザー向けの料金プランには無料通話分もついてくるが、それを使い切れば、あとは上記の半額程度がかかってくる。

業務用携帯電話の支給率はわずかに2割強
通話料の補助もお寒い現状

 外回りの営業マンは言うまでもないにせよ、仕事で携帯電話を使う必要は誰にでも生じうる。マイナビニュースの調査によれば、1日1回以上という頻度で携帯電話を仕事で使う人の割合は、約3割にもなるという。その通話先の内訳は、自社56.5%、顧客/クライアント19.0%、協力会社6.4%だ。出先から事務所への連絡ならいったん切って相手からかけてもらえばいいが、客先への通話ともなれば、長電話になってしまっても、まさかこちらから切るわけにもいかない。

 そこで気になるのが携帯電話の従業員への支給率だが、会社から貸与を受けている人の割合は、最新の調査でも全体の2割強でしかないようだ(MMD研究所によれば23.7%、マイナビニュースによれば23.9%。いずれも2012年10月に調査実施)。そして、業務通話ぶんの経費処理はというと、実費支給(通話明細などを根拠に業務ぶんを切り分ける)が5.0%、毎月一定額を支給が1.8%、いっさい補助なしが93.2%という実態が、前述のマイナビニュースの調査から浮き彫りになった。ということは、ざっくり言って7割ものビジネスパーソンが、私物の携帯で自腹を切って仕事の電話をかけていることになるのだ。

 たしかに経営者の視点からみれば、従業員全員に携帯電話を支給するのは費用負担が大きすぎるし、会社の携帯を私用電話に流用される懸念も生じる。業務通話分を実費支給するにしても、いちいち明細書をチェックするのでは経理担当者の事務負担が過大になってしまう。

 一方、従業員の立場からみれば、すでに、スマートフォンの個人利用率は、インプレスR&Dの調査(2012年10月)によれば39.8%だから、業務上の資料をDropboxなどのクラウドサービスで同期して、私物のスマホで出先から閲覧や修正をしている人もかなりの割合に上るはずだ。