エスカレーターに乗る群衆写真はイメージです Photo:PIXTA

日本以上に少子高齢化が急速に進んでいる中国では、今、就職できない大卒の若者があふれ、大学院生が激増し、一方で高齢者の再雇用が進み…という事態が進行中だ。労働力不足のはずなのに若者が余る不思議。なぜこんな事態になっているのだろうか?(フリーライター ふるまいよしこ)

中国では年々大学生が
増え続けている

 6月7~8日の2日間、中国で全国統一大学入試が実施された(中国では9月1日に新学期が始まる)。今年度の受験者数は1291万人で、昨年より100万人ほど増えている。深刻な学歴社会に突入した中国では、都市部出身者の間ではすでに「大学に進学しないなんてあり得ない」とまで言われており、受験する当人だけではなく親もこの統一入試にすべてを懸ける。

 受験生の主流を18歳と想定すると、今年は2005年生まれの主戦場となる。2005年の出生数は1600万人余りで、ざっくりそこから単純計算すると18歳の中国人の約80%が大学を受験したことになる(もちろん現実には再受験者もいるし、2005年生まれが夭折した可能性もある。しかし、大勢に大きな違いが生まれるほどではないとされている)。ちなみに、日本の18歳人口に対する志願率が56.8%(2020年)といえば、80%という数字のすごさが分かると思う。

 10年前の試験時と比べてみると、当時の18歳、つまり1995年の中国の出生数は2000万人を超えていた。また、当時の募集枠は今より少なかったので、これまた単純に比較すれば、競争率はその頃に比べてかなり低くなっているのは間違いない。大学に入学しやすいこと、それもまた大学進学者が増え続ける一因となっている。

 その結果、昨年は大学新卒者(大学院修了者含む、以下同)の数が1000万人の大台を突破した。さらにこの6月には仰天するような報告が行われた。