ロシア・サハリン南部のプリゴロドノエにある液体天然ガスのプラント「サハリン2」の桟橋に停泊中のタンカーロシア・サハリン南部のプリゴロドノエにある液体天然ガスのプラント「サハリン2」の桟橋に停泊中のタンカー Photo:Eddie Gerald/gettyimages

ウクライナの隣国ベラルーシにロシアの戦術核兵器が配備される見通しで、核を巡る緊張が高まっている。原爆死没者慰霊碑にそろって献花を行ったG7の首脳が表明した「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」は評価できる内容なのか。日本の対ロ制裁は機能しているのか。ジャーナリストの池上彰氏と増田ユリヤ氏が対談した。(ジャーナリスト 池上 彰、増田ユリヤ 構成/梶原麻衣子)

配備中・現役の核弾頭数は
増えている

池上 世界の核兵器の数は増えたか、減ったか。実はどちらも正解で、長崎大学核兵器廃絶研究センターが6月に発表した分析によると、老朽化等で退役・解体した核弾頭などがあるため総数は減った一方、配備中・現役の核弾頭数が増えていると報告されています。

増田 5月末に広島で開催されたサミットでは、G7(先進7カ国)の首脳がそろって原爆死没者慰霊碑に献花を行った一幕に感激しただけに、現実に引き戻される報告ですね。

池上 ウクライナの隣国ベラルーシにロシアの戦術核兵器が配備される見通しで、核を巡る緊張が高まっていることを考えると、サミットでの核を巡る議論の意義も、また一味変わってくるのではないでしょうか。

 私も広島サミットを現地で取材していましたが、核保有国を含めた各国がみんなで一斉に献花し、その映像が世界に流れたことに非常に大きな意味があった、と感じました。ましてや、ロシアの核の脅威がウクライナを脅かしているさなかです。そこへウクライナのゼレンスキー大統領までやって来たのだから、その効果は絶大です。