『新・あのヒット商品のナマ企画書が見たい!』の取材で見えた企画のテクニックをご紹介する短期連載。第2回目となる今回は、より企画書を使い倒していく方法を紹介しよう。といっても「作り直していろいろな先に提出する」といった話ではない。企画書を「情報バンク」として使う方法の提案だ。
企画書に書き込まれたメモのメリット
今回の取材でハッ!としたのが、(株)エーチームデザインで拝見した企画書である。大ヒットしたスマホ用手袋「EVOLG」を新規開発した際のものなのだが、見せていただいた企画書には、鉛筆でさまざまな書き込みがなされていたのだ。
そもそもエーチームデザインはスノーボードのウエアを開発・販売している会社だ。自身がスノーボードを楽しむ企画担当者は、手袋をしたままのゲレンデではスマホを操作しづらいことから、スマホ用手袋の開発を思いつく。そこで企画書を作成したのである。
面白いのは、この企画書が最初は自分向けに書かれたものだという点である。その後、必要に応じて徐々に手を加え、社内向けにブラッシュアップしていったという。
自分用の企画書としてまとめた後に、担当者はさまざまな外部の企業に当たって、手袋用の繊維を探したり試作品を作ったりしていくことになる。その過程で、さまざまな情報をメモとしてどんどん追加していったのだ。いわば、企画書を「情報バンク」として活用しているのだ。
『新・あのヒット商品のナマ企画書が見たい!』に掲載した企画書には、手書きの情報がいっぱい追記されている。数多くの企画書を見てきた筆者だが、これほどメモ書きが多数盛り込まれたものは初めてだった。とても几帳面な方と見え、ていねいな文字の鉛筆書きが並んでいて感心した。
なるほどと思ったのは、メモ書きに日付を入れていることだ。これなら情報のアップデートや電話などで得たデータを後から確認できる。これ以外にも追記メモのメリットは多そうだ。