野党が「世襲廃止論」を
武器にできる二つの提案

 とはいえ、「世襲制廃止だけでは野党政権など信用できない」という声も出てくるでしょう。そこで、新たなアイデアを二つ提案したいと思います。

 一つめのアイデアは、野党間の主張の異同をわかりやすくする方法です。名付けて「国会レッドカード制度」。ネット上、そして各党の本部に大きなボードをつくり、自民党議員への評価を野党各党が書き出す仕組みをつくったらどうでしょうか。

 問題を起こした議員、失言をした議員があまりに多すぎて、国民も忘れているし、その議員をどの党が問題にしたのかは、もっと忘れられています。しかし、野党の最終目標は政権奪取だという前提に立てば、国民に忘れさせてはいけないのではないか。そこで、ある自民党議員に異を唱える野党が一つでもあれば、その党はその議員の欄にイエローカードを付けるようにする。各野党が全員イエローカードを付けるなら、さすがに国民も忘れる確率が低くならないでしょうか。

 野党や国民の共通認識が「イエローカード」でチェックされ、それが二度、三度と重なれば「レッドカード」となり、全野党が議論をして、議会でその政治家に辞任勧告をするか、大臣不信任案を突き付けるといった、わかりやすい指標となるでしょう。もちろん、そこに加わらない野党もいるかもしれませんが、それはそれで考えはわかります。

 なにか起こる度に、あげ足とりのような演説や質問をするだけでは、国民が自民党への不信感を持ったまま、解散総選挙を迎えてしまいます。それに、レッドカード制度により野党が何を問題にしているかがはっきりすれば、選挙協力といっても「野合」感はなくなるのではないでしょうか。

 私なら、このボードに公明党も参加するよう促す活動もしてほしいと思います。連立離脱をも示唆するほど仲が悪くなっている、自民党と公明党。それが本音なのか、実は単なるゴネ得なのかは、このボードに参加するかどうかがリトマス試験紙になります。

 こうして、政治を少しでも国民に近づけたら、続いて野党全党で提案してほしい法案があります。それが、「国民提案制度」の導入です。

 これは台湾やスイスなどで実際に行われている制度ですが、国民の一定数から提案があれば、必ず政府は回答しなければならないという仕組みです。たとえば台湾の場合、「公共政策オンライン参加プラットフォームJOIN」という仕組みが、オードリー・タン氏によって導入されました。市民が一人でも政府に提案ができて、その提案に5000人以上の賛同者がいれば、政府関連部門は書面による回答が義務付けられています。