東日本大震災を予言した「四口の神釜」

 日本三奇の最後のひとつは東北地方。宮城県塩竈市の御釡神社に祀られている「四口の神釜」である。

 これはその名の通り、4つ並んだ鉄製の釜のことであり、同神社が古くから神器として重宝してきたものだ。その昔、この神社の祭神であるシオツチノオジが製塩に用いたものと伝えられ、もともとは7口あったが、そのうち3口は盗難に遭い、「四口の神釜」として奉安するに至ったという。

東日本大震災を予言した「四口の神釜」とは?世にも奇妙な日本の遺構をめぐる旅塩竈市の御釡神社。JR本塩釜駅より徒歩で8分ほどの好立地にある Photo by S.T.

 では、残されたこの4つの釜の何が奇妙なのかというと、どうやらこの釜には未来を予見する不思議な力が秘められているらしいのだ。

 普段はあふれることも涸れることもない釜の水が、世の中に異変が起こる直前に、変色してその予兆を知らせるのだという。直近でこの「四口の神釜」が話題を集めたのは、2011年3月11日に発生した東日本大震災だった。

 この未曾有の震災が起きた当日の朝、普段は赤茶けた色味の釜の水が、4口のうち2口のみ、透明に変化した様子が目撃されている。

 ご存知のように、東日本大震災は巨大津波を引き起こし、死者1万5900人、不明者2523人というとてつもない犠牲を生んだ歴史的な災害だ。御釡神社が鎮座する塩竈市も津波の猛威に巻き込まれたが、この「四口の神釜」がすんでのところで被害を免れているのもなんだか意味深い。