10月から本番!大混乱必至! インボイス&改正電帳法 最新対策マニュアル#8Photo:PIXTA

課税・非課税取引が混在する賃貸不動産を巡る取引。制度の周知が進まない中、オーナーとテナントの間に入る管理会社の社員が混乱に見舞われることになりそうだ。特集『10月から本番!大混乱必至! インボイス&改正電帳法 最新対策マニュアル』(全16回)の#8では、オーナーがインボイスを発行する場合としない場合の金額をシミュレーションし、珍しい事例も解説した。(ダイヤモンド編集部 岡田悟)

「週刊ダイヤモンド」2023年9月30日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

テナントが住民なら非課税だが
オフィス・店舗なら要インボイスに?

 不動産の賃料に消費税はかかるのか──。賃貸物件を所有する全国の不動産オーナーにとって、インボイスは非常に面倒な問題となりそうだ。

 なぜなら、賃料など不動産に関係する収入には、消費税がかかるケースとかからないケースがあり、その区別は決して単純ではないからだ。

 賃貸アパートやマンションに住む人が、住まいとして利用するために賃貸借契約を結んでいれば、その家賃には消費税はかからない。こうした住民ばかりの物件を所有しているオーナーが免税事業者であれば、インボイス制度の開始に合わせてわざわざインボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)に登録する必要はない。

 契約先が法人であり、その法人が従業員の借り上げ社宅として使うために契約していたとしても、使用目的はあくまで住居であるため非課税となり、インボイスの発行を求められることはない。

 一方で、オフィスや店舗として利用されている場合の賃料には、消費税がかかる。都会でビルを所有しているようなオーナーは課税売上高が1000万円を超え、すでにインボイス発行事業者となっているケースが多いとみられる。

 だが賃料水準が低い地方では、課税売上高1000万円以下の免税事業者であるオーナーが少なくない。つまり、住居以外のテナントが入居している物件のオーナーが、今後はインボイスの発行を求められる可能性があるのだ。