トヨタPhoto:Diamond

新型コロナウイルス禍がかなりの落ち着きを見せ、社会は少しずつ元通りになりつつある。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった問題はいまだに解消されていない。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はトヨタ自動車、ホンダなどの「自動車」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

自動車業界5社が2桁増収
利益面も大幅増

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の自動車業界5社。対象期間は2023年2~6月期の四半期(5社の対象期間はいずれも23年4~6月期)としている。

 各社の増収率は、以下の通りだった。

・トヨタ自動車
 増収率:24.2%(四半期の営業収益10兆5468億円)
・ホンダ
 増収率:20.8%(四半期の売上収益4兆6250億円)
・日産自動車
 増収率:36.5%(四半期の売上高2兆9177億円)
・スズキ
 増収率:13.7%(四半期の売上高1兆2089億円)
・SUBARU
 増収率:29.7%(四半期の売上収益1兆821億円)

 今回で自動車業界5社はいずれも4四半期連続で2桁増収を達成した。中でも、日産自動車とSUBARUは3割前後の大幅増収だった。

 自動車業界は近年、新型コロナウイルス禍・半導体不足・資材高の「三重苦」に苦しめられてきた。だが、昨今はこれらの影響が少しずつ緩和されており、各社は利益面でも好調を維持している。

 例えばトヨタ自動車は、半導体需給の改善に伴う販売台数増、固定費削減、為替変動のプラス効果などによって、23年4~6月期の営業利益が前年同期比約9割増と大きく伸びた。

 また、ホンダも販売台数増や原材料価格の低下などによって、営業利益が前年同期比約8割増と堅調に拡大した。残る3社も日産自動車は98.1%増、スズキは33.9%増、SUBARUに至っては128.4%増(約2.3倍)の営業増益と大幅な伸びを見せた。

 そして自動車業界の5社の中には、第1四半期終了時点で早くも24年3月期の通期業績予想を上方修正している企業が2社ある。

 その企業は、果たしてどこなのか――。次ページ以降では、各社の増収率および利益面を紹介するとともに、業績上方修正を発表済みの企業を明らかにする。