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吉田恒のデータが語る為替の法則

逆張りの2月でいったん100円に戻すか?
100年に一度の危機で80円へ向かうか?

吉田 恒
【第16回】 2009年2月4日
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 先週、米長期金利(10年債利回り)は、2.9%近くまで一段と上昇しました。このきっかけは1月28日のFOMC(米連邦公開市場委員会)でした。

 そしてそれについて、実はFRB(米連邦準備制度理事会)による意図的判断だった可能性が密かに取り沙汰されています。もしそうなら、それは円安の可能性を示唆することになりそうなのですが――。

 米長期金利が、先週2.8%台まで急騰するきっかけになったのは、FOMCで米国債購入が見送られたからと一般的に理解されています。

 FRBは、昨年12月からさらなる金融緩和策の一つとして、米国債の購入を示唆し、それを期待して債券価格は上昇、利回り低下となっていたことから、1月FOMCでの具体化の見送りで失望が入ったというわけです。

 ところで、これについて、一部でFRBの「確信犯」説が取り沙汰されています。

 FRBは、リスク回避に伴う「安全資産」米国債シフトの行き過ぎが「不満」だった。その結果、リスク資産、たとえば株式相場などへの資金回帰が遅れ、デフレ懸念すら浮上し始めたことを憂慮し、行き過ぎた米国債シフト修正を促す狙いから、意図的に米国債購入の具体化を見送った可能性があるというわけです。

 さて、私もかねてから、米国債価格の上がり過ぎ、利回りの下がり過ぎ、「安全資産」への行き過ぎた資金シフト、「安全資産バブル」の可能性に注目してきました。その意味では、上述の考え方はしっくりくるものです(「英国が危機的状況で英ポンド暴落! 為替はリスク回避で円高の動きだが…」などを参照)。

「安全資産バブル」破裂が
円相場に与える影響は?

 自分に都合よく受け止めるなら、FRBも「安全資産バブル」を懸念し、FOMCはそのバブル破裂のきっかけになった可能性がありそうです。ところで、もし「安全資産バブル」破裂が始まっているなら、為替・円相場にも注目したいところです。

 個人的には違和感がありますが、一般の市況解説を見ていると最近、円について「安全資産として買われた」といった表現を見ることがあります。つまり円も「安全資産」の1つということなら、「安全資産バブル」破裂が波及し、反落に転じることになる可能性があるのではないでしょうか。

 私は、円高基調はまだ続いているものの、ただ、目先的には行き過ぎの調整が入る可能性があると考えています。

 これを数字でいえば、年末は75~80円だが、3~4月は95~100円ではないかといったイメージです。そしてこの目先的な行き過ぎの調整は、行き過ぎた安全資産シフト、つまり「安全資産バブル」破裂と似た響きのものでしょう。

米ドル/円 週足

リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足

 さて、そんな具合に、3~4月に95~100円へ円安になるのか、それともこのまま80~85円へ円一段高となるのか。どちらにしてもこの2月は大きな分かれ道になりそうです。

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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