新プロダクトの「社内向け発表」こそ全力でやる

佐宗 マザーハウスでは、大切にしてほしい価値観をMH語ノートで直接的に、そして評価を通して間接的に伝えているわけですが、一方で、御社の場合は、プロダクト自体が「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という会社の理念を担うものでもありますよね。実際に、途上国でつくった製品を売っているわけですから。

山崎 そうなんです。理念=プロダクトです。だからマザーハウスでは、社内の商品発表会がすごいんです。いちばん大事なイベントと言ってもいいくらいです。

佐宗 社内向けの商品発表ですか? 社外ではなく?

山崎 ええ、全社員が参加する、社内向けのイベントです。社外向けかと思うほど、ちゃんとやりますよ。大きなものは年2回ですが、小さなものは毎月やっています。やはり社内の人の心が動かなければ、お客さんにもその魅力を伝えられません。商品って、見た瞬間に心が動くものですよね。そのため、ギリギリのタイミングまでは、社内にも新商品の仕様は極秘にしておき、期待感を高めたうえで発表しているんですよ。

生産国のバングラデシュなどと中継して、生産に関わった人にもしゃべってもらいます。このときばかりは、代表の山口(絵理子さん)も本当に緊張しながら入念に準備して、社内向けのお披露目をいかに劇的に演出するかに力を注いでいます。社員たちもみんな新商品の発表をものすごく楽しみにしているので、ここで失敗するわけにいかないんですよね。

佐宗 デザイナーの哲学なども話されるのですか?

山崎 山口自身がデザイナーで創業者なので、商品について山口が話すことはそのまま哲学になるんですよね。ぼくらはたえず途上国の可能性と、お客さんがどう生きていきたいかの掛け算でプロダクトをつくっているので、無理して哲学を伝えようとしなくても、プロダクトの説明をすればその部分は十分伝わると感じています。

佐宗 なるほど。プロダクトといえば、マザーハウスはファッション・雑貨がメインですが、少し前からチョコレートも手がけるようになりましたよね。次回はそれについて教えてください。

なぜ人事面談を2回にするだけで、評価に満足する人が増えるのか?

(次回に続く)