中高一貫「香蘭女学校」が立教学院グループの一員として目指すものビカステス記念館や聖ヒルダ館など、構内には至る所に英国国教会の息吹が感じられる。左上の肖像画は創設者のエドワード・ビカステス主教
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日本聖公会の学校として

――香蘭女学校は英国国教会直系ですが、いまでもつながりはあるのですか。

鈴木 二番目の校地である芝区白金三光町(現・港区)の新校舎落成式(1912年9月19日)には、英国国王御名代アーサー・オブ・コンノート殿下に英国より出席いただいております。また、以前3回ほど、英国国教会のトップであるカンタベリー大主教が来校されました。

 日本聖公会の中で、最大規模の教育機関は立教学院です。大阪の桃山学院(聖アンドレ)やプール学院も同じ聖公会で、立教女学院の理事長がプール学院の理事長になるなど、人事交流もあります。聖公会は戒律も厳しすぎず、昔から中庸を行っているといわれます。全国に350ほどの教会がありますが、比較的小規模なのでまとまりがいいと思います。

――同じ敷地にある教会も聖公会ですか。

鈴木 三光教会といいます。白金三光町の校舎が焼失しため、元軍人の邸宅だった荏原区中延町(現・品川区)の現校地を購入、そのときに一緒に移ってきました。

 創立時の校地は、麻布区永坂町(現・港区)の島津藩邸跡にありました。そこでは、日本初の養老院や孤児院なども設けられ、現在は社会福祉法人聖ヒルダ会が運営する老人ホーム「ベタニヤ・ホーム」(横浜市戸塚区)と、エリザベス・サンダース・ホームを戦後設立した岩崎弥太郎(三菱財閥創設者)の孫である(沢田)美喜ゆかりの聖ステパノ学園(神奈川・大磯町)につながっています。

――日本のガールスカウト発祥の地という碑が立っていましたが。

鈴木 英国ガールガイドの日本支部として、1920年に日本女子補導団東京第一組が本校に創設されました。その碑は100周年を記念して立てたものです。

――聖公会系以外の学校との関係はどうなっていくのでしょう。

鈴木 青山学院は、浦和や横浜に系属校を設けるなど面的な拡大を図っています。立教学院の付属・系属校は東京と埼玉の4校のみですが、立教大の傘下に入りたいという首都圏の私立校もあると聞いています。そうした学校への対応も、これからは考えていくことになるのかもしれません。

中高一貫「香蘭女学校」が立教学院グループの一員として目指すもの二番目の校地があった白金の地から一緒に移ってきた三光教会(日本聖公会東京教区)
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