環境革新の舞台は
地球から月面へ

 水素に関しては、夢のあるプロジェクトも始動している。ispace社による民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」に参画、高砂熱学工業が開発した水電解装置をミッション2(24年冬打ち上げ※)の月着陸船に搭載させ、月面環境での水素と酸素の生成を目指す予定だ。

 こうした取り組みの一方で、国内事業の強靱化を目的に建設現場の施工におけるプロセスの変革を目指す「T-Base®プロジェクト」を推進している。具体的には、22年5月に企画・生産・物流などの中核を担うオフサイトの施設「T-Base」(埼玉県八潮市)を設置。現場ごとの施工管理からプラットフォームを中心とした生産管理へと、施工の在り方を変革する取り組みを行っている(下記コラム参照)。

「今後は、海外現地法人を基盤に国際事業にも力を入れていきたいと考えています。近年はカーボンニュートラルに対する意識はむしろ海外の方が高く需要も多い。当社の行動指針である『Takasago Way』の一つに、"Beyond:期待以上の価値を提供する"というバリューがあります。その価値を提供するのは最終的には『人』です。優秀な人財を採用するために、今後はブランド力向上にも注力していきたい」と小島社長は力強く未来を見据える。

※2023年11月時点の想定。

コラム

モジュール化された標準ユニットを全国に配送

「T-Baseプロジェクト」が実現するのは施工プロセスの変革だ。これまで建設現場(オンサイト)では、それぞれに図面を作成し、現場ごとに施工管理を行う「現場一品施工」を行ってきた。今後は「T-Base」を活用し、共通の部分や繰り返し作業となる部分を標準化し、現場とは離れた場所(オフサイト)で生産・供給を行う。モジュール化された標準ユニットを効率的に生産し、全国の各現場に配送するというシステムだ。これによって、現場の負荷低減と高品質な施工を両立し、生産性の向上も図れる。施設は教育施設としての要素も組み込まれ、これまで建設業に従事したことのない人にも雇用の機会が与えられる。また、休憩所をカフェテリア仕様にするなど、作業環境の改善にも取り組んでいる。

埼玉県八潮市にある「T-Base」
●問い合わせ先
高砂熱学工業株式会社
〒160-0022 東京都新宿区新宿6-27-30
TEL:03-6369-8212(代表)
URL:https://www.tte-net.com/