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日本企業こそ「連続のイノベーション」を。 その鍵を握る「中高年の能力」を評価できるか?

【特別対談(後編)】冨山和彦×山田英司

日本企業こそ「連続のイノベーション」を。
その鍵を握る「中高年の能力」を評価できるか?

著者・コラム紹介
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 今回の特別対談のテーマは、「課題先進国ニッポンのビジネスチャンス」。企業再生のスペシャリストとして日本企業の強みと弱みをよく知る冨山和彦氏と、長年、社会課題にかかわる大規模なシステム開発プロジェクトを手がけてきたNTTデータの山田英司氏の2人は、いまの日本の状況をどう捉えているのか? 
 前回の前編では、「少子高齢化に負けない成長モデル」について。そして今回の後編は、「日本企業がめざすべきイノベーションの姿」について語る。
(取材/構成/執筆: ダイヤモンド社 出版編集部 宮田和美)

日本企業が極めるべき
「連続のイノベーション」

冨山和彦(とやま・かずひこ)
株式会社経営共創基盤(IPGI) 代表取締役CEO
ボストンコンサルティンググループ、コーポレイトディレクション代表取締役社長を経て、2003年に産業再生機構設立時に参画しCOOに就任。解散後、IPGIを設立、数多くの企業の経営改革や成長支援に携わり、現在に至る。1960年生まれ、東京大学法学部卒、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、司法試験合格。

冨山 日本企業は世界で標準化するのが不得手だと申しましたが、世界を視野に入れたビジネスモデルを考えるたびにいつも思うことがあります。それは、GEにできたことが、なぜ日本のメーカーにできないのか――ということです。GEは突拍子もないイノベーションは決してやっていません。むしろ「捨てた」だけ、と言ってもいいでしょう。ジャック・ウェルチが推し進めた「選択と集中」です。

山田 事業の存続条件が、「その産業分野でのシェアが、世界1位か2位であること」というポリシーですね。

冨山 そうです。コンピュータやら半導体やら、この条件を満たさないものを、GEはすべて捨ててしまった。その結果残ったのは、藤本隆弘教授(東京大学 ものづくり経営研究センター センター長)の言葉を借りれば、熱と質量のあるとこだけ。ガスタービン事業に代表されるように、要は連続的な技術蓄積ができるもの、つまり「積み上げが効く」事業です。

山田英司(やまだ・えいじ)  株式会社NTTデータ
代表取締役 副社長執行役員
パブリック&フィナンシャルカンパニー長
1955年北海道生まれ。78年日本電信電話公社入社。88年からNTTデータ通信株式会社(現:株式会社NTTデータ)。人事部長、グループ経営企画本部長、金融ビジネス事業本部長等を経て、現在は代表取締役副社長執行役員 パブリック&フィナンシャルカンパニー長を務める。

山田 実はそれ、日本企業が一番得意とするところですね。

冨山 そう、そうなんです。つまり、「連続のイノベーション」。日本企業はこうした得意技を持っているのに、なぜGEのようにできないものかと…。むしろ、不連続なイノベーション、つまり単なるパワーゲームのようなものを思いきって捨ててしまって、連続のイノベーションに集中すれば、それはもう世界にとって大きな脅威ですよ。メカトロニクスの分野ではとくにです。

山田 GEにはできて、日本企業にはできなかった。その最大の要因は何でしょうか?

冨山 たぶん、ふたつ理由があると思います。まずひとつは、「スピーディーに選択と集中ができなかった」ことです。日本企業はとにかく捨てられない。近年、日本のエレクトロニクス産業が苦境に立たされていますが、そういった状況のなかでも、スピーディーに選択と集中をやった企業は、ちゃんと業績が上がっているんです。たとえば日立製作所とか。この3、4年でそれができたかできなかったかが、ここまで大きな差を生んでしまったというワケです。

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