私はマラソンもするのですが、マラソンと同じように自分への挑戦ができるのも登山のいいところ。少しずつ難易度の高い山、多くの距離を歩かなければならない山、登頂までに時間がかかる山にチャレンジできることが楽しいのです。

 登山中は集中力が欠かせない箇所などもありますが、そうでもない所では頭を空っぽにすることができます。あるいは仕事について考えていると、いろいろとアイデアが浮かんでくるような時もあります。ほかにも登山の効用には、ストレス解消やデジタルデトックスなどがあり、山中での孤独感でさえ、普段の生活では味わえないような魅力と感じられるのです。

 経営者にも登山愛好家は多く、アップルCEOのティム・クック氏は「ハイキングやアウトドアでのアクティビティによって、精神的なリセット、『心のお口直し』を図っている」といいます。都市部の住民が公園や森林、ビーチなどの自然環境で週に少なくとも120分過ごすことは、肯定的な幸福感を得る可能性を高めるという研究もあるそうです。

プロジェクトマネジメントと
登山の類似性

 登山にはプロジェクトマネジメントやプロダクトマネジメント、事業開発・運営と似ているところがあり、特にプロジェクトマネジメントとは非常に近い関係にあります。

 登山をする際は、事前に「山行計画」を立て、しっかりと準備します。目的地やルート、所要時間、装備、天候、緊急時の対応などを決めておくのです。

 ルート設定は、登山地図やガイドブックなどを見て、自分のレベルに合ったルートを選ぶところから始まります。そして一般的な人が登れる目安のコースタイムを基準に、自分が早めなのか遅めなのかを掛け合わせて所要時間の予定を立てます。私はコースタイムに対して、だいたい0.6〜0.7ぐらいの時間で動けるので、その時間をもとに途中でしっかり景色を眺めたいところではゆっくりめのペースにするなどして、ルートと所要時間を計画していくのです。

 今は登山用のウェブサービスやスマートフォンアプリでも、ルートの計画ができます。地図上をたどっていくと自動的に標準的なコースタイムが入力されるので、自分のペースを掛け合わせれば、ルート計画を作成することができます。

“頂き”を目指す!登山の魅力とビジネスとの共通点とは「ヤマレコ」というサービスで丹沢の鍋割山と塔ノ岳に登る計画を立てたときのルート
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