「海の砂漠化」を食い止めるため
海洋環境再生モデルの確立へ

 磯焼け対策の取り組みの一つとして、福岡県での事例を紹介しよう。地元の糸島漁業協同組合と人気飲食チェーンとの共創だ。

 通常、だしをとった後のコンブは廃棄対象となる。その廃棄部位を、地場の海に生息するウニ(ムラサキウニ等)に与える。

 もともと地場の海にすむ天然のウニは食用部分が充実しておらず売り物にはならなかった。そればかりか、藻場を荒らし磯焼けを起こす「食害」の厄介者と嫌われてきた。

 ところがコンブの廃棄部位を餌として与えたところ、ウニはそれらを食べ、天然の海藻類には手を出さなくなったという。そのため藻場が荒らされなくなって原状回復が進み、さらには廃棄部位を食べたウニは食用として十分に生育して、食用部分の味も他と遜色ないという。

 当然、市場で売り物になれば漁協関係者も潤うことになる。まだ試行段階ではあるが海洋環境の再生モデルとして、関係者はその構築に手応えを感じている。

 同様の取り組みは、北九州市でも進められている。