「フラットな組織づくり」はリーダーが重要

佐宗 組織の規模が大きくなると、カルチャーを伝えていくのが難しくなるように思うのですが、その点についてはいかがでしょうか?

星野 組織が大きくなるにつれ、職場のフラット度合いは、チームや施設のトップが「フラットな組織」にどれくらい執着しているかに依存するようになります。リーダーが「自分のほうが偉いんだ」と少しでも思っていると、その人のチーム全体がフラットではなくなってしまう。

それを修正していくのが今の人事グループの課題の一つです。全体としてはうまくいっていると思いますが、この課題に関しては継続してやっていくしかないと思っています。

佐宗 人事の方は実際にはどんなことをなさっているのですか?

星野 おもには入社後の研修です。それから私たちは「麓村塾(ろくそんじゅく)」という社内の教育制度を持っています。そこでは各スタッフが自分で学びたいことを学べるようにしています。組織横断的にスタッフが集まることになるので、そのプログラム一つひとつに人事グループが関与して、星野リゾートの価値観が浸透するように取り組んでくれています。そういう地道な努力を通じて、組織間・施設間のばらつきをなくそうとしています。

佐宗 なるほど。一方で、星野リゾートは企業再生事業にも取り組まれていますよね。すでに別の文化を持っている既存組織に、フラットな組織文化を持ち込むのは難しいのではないかと思います。次回は、その点についてお聞かせください。

(次回に続く)

星野リゾート代表に聞く。日々の「偉い人信号」が会社をダメにしていく