“たまプラ”で、
タウンミーティング

 本連載第141回を皮切りに、「超小型モビリティ」の可能性を探る旅が始まっている。

「たまプラーザ」駅周辺。洒落た店並みが続く Photo by Kenji Momota

 今回の舞台は、神奈川県横浜市北部の住宅地だ。沿線住民は昔から“たまプラ”と呼ぶ、東急田園都市線「たまプラーザ」駅。同駅周辺を舞台に、2013年2月19日から3月4日、子育て世代の家族7組がそれぞれ、日産「New モビリティコンセプト」と生活を共にした。

 これは国土交通省が主催し、横浜市/東急電鉄/日産が共催した「超小型モビリティ・これからのモビリティ社会を先行体験」(以下、先行体験)の一環だ。

 これら4者の組み合わせの背景には、3つの動きがオーバーラップしている。

 ひとつは、横浜市と東急電鉄が2012年4月18日に締結した「次世代郊外まちづくり」の推進に関する協定。ふたつに、横浜市と日産が低炭素型次世代交通の実現を目指す「ヨコハマモビリティ“プロジェクトZERO”(YMPZ)」。さらに、国土交通省が2014年の法整備と2015年からの普及を目指す「超小型モビリティ」に関する実証試験が加わったカタチだ。

2013年2月19日 小雪舞うなか「たまプラーザ」駅前で実施された、「先行体験」の発表会 Photo:主催者提供

「先行体験」のキックオフは2013年2月19日。小雪舞うなか、「たまプラーザ」駅前で開催された「発表会」の模様は、NHKニュースや大手新聞等で取り上げられ全国から注目を集めた。

 そして3月13日、同駅近くのたまプラーザテラス・プラーザホールにて、実証試験の報告会を兼ねた「タウンミーティング」が開催された。筆者も取材予定だったが、米国取材からの帰国日程の変更で、出席できなかったため、後日主催者から関連資料一式を入手した。

「先行体験」モニターの、子育て世代の主婦たち Photo:主催者提供

 それによると、7モニター家族14日間の合計トリップ(A地点からB地点の移動が1トリップ)回数は170回。

 各モニター家族からの感想としては、全体的に「走行中にとても注目されるなど、近隣住民とのコミュニケーションがとれた」など、好意的ものが多かった。また車両本体については「加速等、運動性能は十分であり、一般交通のなかで不便さは感じなかった」との評価。また、荷室のあり方など、車両デザインへの要望などもあった。