日本の実質GDPはコロナ禍前より減少、なぜ米国は成長するのにマイナス成長か?Photo:PIXTA

2019~23年の実質GDP
米国は5%増、日本は1%減少

 2023年の国内総生産(GDP)が2月15日に発表され、日本の名目GDPは米ドル換算でドイツに抜かれて世界4位に転落、55年ぶりに日独が逆転した。

 だが、アメリカとの間でも、新型コロナウイルスの感染拡大という異常な事態での経済パフォーマンスが顕著に異なるものとなった。それまでもあった日米の違いがはっきりと現れた。

 この期間を通じてアメリカ経済は成長したのに対して、日本経済はマイナス成長に陥ったのだ。

 IMF(国際通貨基金)のデータによれば、コロナがほぼ収束した2023年の日本の実質GDPは、コロナ禍前の19年の0.989倍になった。つまり約1%減少した。それに対して、アメリカでは1.051倍になった。つまり、約5%増加した(注)。減少と増加では、天と地ほどの隔たりがある。

 3月中旬に自動車・電機大手の集中回答が予定される今春闘での高い賃上げが成長をけん引するかのように言われている。だがそれは誤解だ。

 仮に春闘で連合が要求する「5%賃上げ」が実現することになっても、根本的な問題は解決しない。