「大地震が起きたときは、命を守ることが最優先です。不動産の権利証や通帳、保険証券、実印などは失っても権利は失いませんので、危険な場所に取りに戻ったりしないでください」(同)

 避難生活の長期化が懸念されるとき、生活再建と両輪で行いたいのは「心のケア」。東日本大震災の後、被災直後の感情が高ぶった時期が過ぎ、少し落ち着いてきたときに心身の不調が出やすいといった指摘もあった。

東日本大震災でも県外被害が長期化
心をケアし、被災者をつなぐ試みも

3.11の教訓を能登半島地震の被災地へ、「命をつなぐ」生活支援制度の最新事例アスチカの看板    Photo:K.Murata

「今回の能登半島地震で被災された方が広島での避難を検討している、もしくは広島での支援について知りたいなど、お困りのことがあれば、いつでも相談を受けています」

 そう呼びかけるのは、「ひろしま避難者の会アスチカ」代表の三浦綾さん(51)。今年1月中旬からホームページ上で相談窓口を公開している。

http://hiroshimahinanshanokai-asuchika.com/ivent/article/

 復興庁のまとめによると、東日本大震災による県外への避難者数は岩手887人、宮城1221人、福島は2万7399人(23年2月時点)。福島第一原発事故の避難指示が最大12市町村に広がり、いまも7市町村で指示が続くなど、避難の長期化が続いている。

 避難者の受け入れは震災直後から全国で進められ、福島県は全国26カ所に相談窓口を設置し、情報提供や交流会などに取り組んでいる。その一つであるアスチカは、生活の基盤や気持ちを整え、同じ思いの仲間を見つけながら次のステップへ踏み出すことをサポートする当事者団体として12年10月に設立。会の名前には「明日へすすむ力」の願いを込めた。

 現在、96世帯、312人の会員がいて、今も事務所兼交流スペースの「たねまく広場」(広島市西区)には多くの会員が集う。