新NISAを契機に20年後の家計資産はこう変わる、リターン向上に期待20年後の家計金融資産は4000兆円に倍増か Photo: Reuters/AFLO

 日本の株価指数は日経平均で4万円を超え、年初よりスタートした新NISA(少額投資非課税制度)もとりあえず順調に運用残高を拡大しているようだ。

 果たして新NISAは預貯金偏重だった日本の家計資産構成を変え、資産形成上のリターンを引き上げる契機になるだろうか。今回はこの点を考えてみよう。

 まず家計の金融資産の推移を示した図表1をご覧いただきたい。これは日銀の資金循環統計であり、2023年12月末時点でグロス金融資産は2141兆円、債務を差し引いた純資産は1754兆円だ。この総額に基づいて国民1人当たりのグロス金融資産額を計算すると1727万円(=2141兆円/1億2400万人)になる。4人家族ならば4倍して6908万円だ。「我が家は平均的な所得中間層家庭だが、そんな資産残高はないぞ」と感じる人は少なくない。

 日銀の資金循環表は、他のマクロ統計データと同様に基礎資料に基づいて推計された2次統計であるが、家計調査のような9000件程度のサンプル調査によるものと違って、全国の金融機関等からのデータに基づいて集計されているので信頼度の高い統計データだと言えるだろう。「実感」との乖(かい)離はおそらく次の3つの事情で生じている。

 第1は平均値と中央値の乖離である。資産や所得のように格差のある分布には必ず、相対的に少数ながら大きな値の存在が平均値を押し上げる。その結果、全体の分布のちょうど中間の値を示す中央値より平均値が大きくなる。上記のような一般的な「実感」は中央値に近いのだろう。

 第2に図表1に示した年金と保険の受給権が537兆円(全体に占める比率25.1%)もあることだ。一方、自分の世帯の金融資産として一般の人が認識しているのは、現金、銀行預金、証券口座残高、それと個人ごとに管理されている確定拠出年金までだろう。