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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

「日本病」に気付き始めた日本人
それが復活の始まりを告げる

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第149回】 2013年4月4日
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 白物家電の領域では世界の王者となった中国最大の家電メーカー・ハイアールの本社には、会社の歩みを紹介する展示ホールがある。ハイアールの前身は、山東省青島市の国有企業、青島冷蔵庫総廠で、当時の従業員は400名ほどだった。

 経営効率の悪い中国国有企業の例に漏れず、経営不振に陥った同社は1984年には1年間で3回も工場長を代えるなどして再起を図ったものの、いずれも失敗に終わり、負債額は約147万元に膨らみ、給料も支給できないほどの窮地に追い込まれていた。そこでその年4人目に送り込まれた工場長が、今のCEOである張瑞敏氏だった。

 しかし、張氏の目に映った工場の姿は、目を覆いたくなるほど惨めなものだった。工場は労働規律がないも同然の無法地帯と化していた。そのため張氏は、労働規律に関する13の「べからず」を設けた。その中の一つは、なんと工場内で大小便をするべからずという信じられない内容だった。

今や深夜のオフィスビルの明かりは
日本の生産性の低さの象徴

 1990年半ば頃まで、日本を訪れた多くの中国人が、夜になっても煌々と照明がついているオフィスビルを仰ぎ見て、感嘆する。「勤勉な日本人には、私たちはとても追いつけそうにない」と。日本に視察に来た中国の政府関係者や企業関係者もそうだったが、日本社会に根を下ろしはじめた中国人留学生も同じく感嘆・感心していた。

 だが、今やその夜のオフィスの照明を褒める中国人はいない。むしろ、その深夜になっても消さないオフィスの照明を、日本企業の生産効率の悪さの象徴として見ている。

 数年前に、東京・汐留の高層ビルにあるホテルのバーで、会社を経営する新華僑の友人と久しぶり飲んだことがある。彼は「莫さんと同じように、おれも一番、尊敬しているのは、戦後の廃墟から日本を世界2位の経済大国にまで復興した世代の日本人だ」と主張する。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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